冷静で客観的な議論が必要な日本 筆者はインダストリー4.0に関して、日本は不幸な国だと思っている。国民がインダストリー4.0について知りたいともっとも強く思った頃、個々の分野では専門家はいたが、全体を俯瞰し、素人にわかりやすく説明できる人が日本にいなかったため、当初、その役割を担ったのが技術の非専門家だったからだ。技術の専門家ではないため、技術の全体像やインダストリー4.0の技術の本質を十分に理解せず、正確な情報伝達役とはなりえず、センセーショナルでミスリードの情報が日本中に流れ、それを多くの国民が信じ込んでしまった。いったん、信じ込んだ先入観を変えることは難しい。それによってインダストリー4.0の本質が誤解され、日本での普及に遅れが生じるのではないかという危機感さえ持っている。以下に例を挙げよう。 [誤解その1]インダストリー4.0は単なる人員削減の手段ではないか。 ドイツでは、インダス