Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

タグ

ブックマーク / www.tachibana-akira.com (55)

  • 「日本人」をカッコに入れる – 橘玲 公式BLOG

    新刊『(日人)』のなかから、冒頭部分を掲載します。 ********************************************************************* 『(日人)』は「かっこにっぽんじん」と読む。文字どおり、「日人」をカッコに入れてみようという意味だ。 私たちのまわりには、「日」と「日人」があふれている。過剰な「日」に溺れて、私たちは自分が何者で、世界がどんなところなのかを見失ってしまったのではないだろうか。 3.11東日大震災と福島第一原発事故のあと、マスメディアやインターネット上でさまざまなひとたちが「日」や「日人」について論じた。その論旨は、おおよそ次の一行で要約できる。 日の被災者は世界を感動させ、日政治は国民を絶望させた。 ここには二種類の、まったく異なる日人がいる。 津波で肉親を失い、原発事故で故郷を奪われても絆

    「日本人」をカッコに入れる – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2018/07/25
    “グローバル化した世界では、政治や行政にできることはじつはそれほど多くない。それにもかかわらず、私たちはあまりにも多くの期待や要求を「国家」に寄せている。個人の人生と国家の運命は一蓮托生ではない”
  • 大麻バッシングは日本の「精神の貧困」の象徴 週刊プレイボーイ連載(266) – 橘玲 公式BLOG

    参議院選挙にも出馬した元女優が大麻取締法違反で逮捕されたことが、ワイドショーなどで連日大きく報じられました。大麻合法化を公約に掲げて選挙に立候補した以上、確信犯なのでしょうが、残念なのは、離島での暮らしや奇矯な言動が大麻(マリファナ)についての主張といっしょくたにされてしまったことです。 元女優が男性4人と暮らすのは自由ですが、「ふつう」ではないかもしれません。しかし大麻の所持や使用は、いまや先進国では違法とするほうが少数派になっています。 オランダでは早くも1970年代に大麻が解禁されましたが、イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパの主要国でも、法律上は違法とされていても個人による栽培・使用は放任されているのが実情です。アメリカでは州ごとに規制が異なりますが、医療用大麻は多くの州で合法化され、コロラド、ワシントン、オレゴン州では個人使用の嗜好用マリファナも合法化されています。またカナダ

    大麻バッシングは日本の「精神の貧困」の象徴 週刊プレイボーイ連載(266) – 橘玲 公式BLOG
  • 第58回 「漏れない秘密」もはや幻想(橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG

    中米のタックスヘイヴン、パナマの法律事務所から流出した大量の秘密ファイル(パナマ文書)が波紋を広げている。ロシアのプーチン大統領に近い関係者、中国の習近平国家主席の親族、イギリスのキャメロン首相の亡父、アルゼンチン大統領やパキスタン首相からサッカー選手リオネル・メッシまで多数の政治家・有名人がタックスヘイヴンに会社を設立して資産隠しをしていた疑いが生じたからだ。 この事件で明らかになったのは、現代社会ではもはや「守秘性」は幻想だということだ。 秘密を守るもっとも確実な方法は、秘密を知る人間の数を減らすことだ。かつてスイスの名門プライベートバンクは、顧客情報は担当者と経営者しか知らず、重要な顧客は銀行の創業者一族である経営者が担当するため、秘密が漏れる恐れはほとんどなかった。ところがその後、情報のデータベース化が進むと、顧客名簿にアクセスできる人数は飛躍的に増えた。 2008年にリヒテンシュ

    第58回 「漏れない秘密」もはや幻想(橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2016/04/27
    「2008年にリヒテンシュタインの大手プライベートバンクから顧客情報が流出した事件では、電子データの移管作業をしていたエンジニアがドイツの税務当局に顧客情報を420万ユーロ(約5億3000万円)で売りつけた
  • 日本人はなぜ自殺するのか? – 橘玲 公式BLOG

    では、毎年3万人を超えるひとたちが自らの意思で死を選んでいる。これは、「市場原理主義」による改革により、日人の安心が奪われてしまったからだと説明される。 だが国際的な自殺率の比較を見ると、日の自殺率(10万人あたりの自殺者数)が24.4なのに対し、市場原理主義の国アメリカの自殺率は11.0、イギリスにいたっては6.4だ。この統計を素直に解釈すれば、日をアングロサクソン型の市場原理主義国家にすれば、年間1~2万人のひとが自殺から救われることになる。市場原理と改革を声高に批判するひとたちは、これをどのように説明するのだろう。 年功序列と終身雇用は真面目に働く労働者にやさしいシステムで、それを「市場原理主義者」が成果主義で破壊したために、追い詰められたサラリーマンが自殺していく、というのが定番のストーリーだ。でもかつて、サラリーマンはほんとうにそんなに幸せだったのだろうか。 『残酷な世

    日本人はなぜ自殺するのか? – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2016/02/17
    「80年代のアメリカは、製造業を中心に大規模なリストラが相次いでいた。日本とアメリカの製造業に従事する労働者を比較すると、アメリカ人の方がはるかに仕事に愛着とプライドを持ち、会社に忠誠心を抱いていた
  • 第54回 住宅ローンは信用取引(橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG

    横浜市内の大型マンションが傾いた事件では杭が強固な地盤に届いておらず、基礎工事を施工した下請業者がデータを改ざんしていた。同じ業者が過去10年間に手がけた物件が約3000棟に及ぶことがわかって不安が広がっている。 この欠陥マンションを購入した住民は、「何千万円もの資産が無価値になるかと思うと夜も眠れない」と語っていた。マンションを販売した大手デベロッパーが買取りを申し出ているが、他の工事でも同様の改ざんが発覚した場合、損害がすべて補償されるとはかぎらないだろう。 今回の事件資産運用理論で説明すると、「タマゴをひとつのカゴに盛るな」ということになる。ひとつの株に全財産を投資して、その会社が倒産してしまえば一文なしだ。それを避けるには、異なるタイプの株式を保有すればいい。これが分散投資理論で、寿司屋がダメでもラーメン屋が儲かればなんとかなるのだ。 借金をして株式を買うのが信用取引で、素人が手

    第54回 住宅ローンは信用取引(橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2015/11/25
    「タマゴをひとつのカゴに盛るのではなく、5000万円でREITを買って、その配当で家賃を支払うのが理論的に正しい投資戦略。個別物件のリスクは機関投資家に負わせ、リスク耐性の低い個人は賃貸が合理的
  • 「おわハラ」ではなく、年齢差別を終わらせよう  週刊プレイボーイ連載(208) – 橘玲 公式BLOG

    内定を出した学生に就職活動を終わらせるよう強要する「おわハラ」が問題になっています。なぜこんなことが起こるかというと、高齢化による人手不足もあるでしょうが、いちばんの原因は、安倍政権の要請を受けた経団連が、「学業優先のため新卒の選考は8月から」という指針を出したことでしょう。 これはたんなる指針なので、経団連に加盟する大手企業は無視できないとしても、外資系や中小企業には関係ありません。そのためこれらの企業は、従来どおり4月から選考をはじめ、次々と内定を出して採用活動を終えています。ところが今年は、そのあとに金融など大手企業の選考があるのですから、これは人事担当者にとって大問題です。 内定を出した学生が大手企業に採用されたとすれば、入社を断ってくるのは8月後半や9月になってからです。それによって予定人数が足りなくなれば、そこからもういちど採用活動をやり直さなければなりません。その手間やコスト

    「おわハラ」ではなく、年齢差別を終わらせよう  週刊プレイボーイ連載(208) – 橘玲 公式BLOG
  • 日本がなぜ戦争したかは、新国立競技場問題が教えてくれる 週刊プレイボーイ連載(206) – 橘玲 公式BLOG

    1923(大正12)年12月27日、国会議事堂に向かう皇太子(後の昭和天皇)の車が狙撃されました。犯人の難波大助は、父親が衆議院議員という山口県の名家に生まれた24歳の若者で、ステッキに仕込んだ散弾銃の銃弾は車の窓を破ったものの、同乗していた侍従長が軽症を負っただけで皇太子には怪我はありませんでした。 欧米のジャーナリストを驚かせたのは、事件よりもその後の出来事でした。 内閣総理大臣の山権兵衛はただちに辞表を提出し、内閣は総辞職しました。当日の警護の責任をとって警視総監と警視庁警務部長が懲戒免官となったばかりか、道筋の警護にあたっていた(事件を防ぐことはとうていできなかった)一般の警察官までもが責任をとらされて解雇されます。 難波の出身地の山口県の知事と、上京の途中に立ち寄ったとされる京都府の知事は譴責処分となり、郷里の村は正月行事を取り止めて「喪」に服しました。難波が卒業した小学校の校

    日本がなぜ戦争したかは、新国立競技場問題が教えてくれる 週刊プレイボーイ連載(206) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2015/08/10
    「政治学者の丸山真男は皇太子狙撃事件を例にあげて、日本社会の特徴は範囲の定めのない無限責任にあると論じた。いったん不吉なことが起きると、関係する全員がなんらかの“けがれ”を負い、批判の矢面に立たされる
  • 第48回 「スイスの魔法」が消えた必然性 (橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG

    外国為替市場では1月15日、スイスフランが1日で前日比30%も高騰する“大事件”が起きた。円に例えれば1ドル=120円が翌日には1ドル=84円になるのだから、そのインパクトは想像を絶する。 スイス国立銀行は2011年、スイスフラン高に対抗して、外為市場で無制限にスイスフランを売りユーロを買う「上限制」を導入した。14年12月にはさらに、政策金利をマイナスにする“異次元”の金融政策にまで踏み込んだ。一連の措置は、理不尽な通貨高から自国経済を守るためだと説明された。 為替レートを固定したまま金利をマイナスまで引き下げると、いったい何が起きるのだろう。 前回は、「為替水準は各国の購買力(インフレ率)を同じにするように決まる」という話をした。この購買力平価説ではデフレの通貨は高くなり、インフレの通貨は安くなるが、これは為替が国境を越えたモノやサービスの交換比率であることを考えれば当たり前の話だ。

    第48回 「スイスの魔法」が消えた必然性 (橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2015/02/26
    「スイス中銀が今後もずっと為替介入を続けたなら、いずれユーロ建てのすべての資金調達がスイスフランに置き換わる。こう考えれば、マイナス金利のまま為替を固定する、という金融政策が維持できるはずはなかった
  • 第47回 40年ぶり超円安の行く先 (橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG

    日銀の追加金融緩和や原油価格の下落を材料に円が売られ、7年4カ月ぶりに1ドル=120円台の円安になった。この為替の変動を「アベノミスクの成果」と誇る声もあれば、「輸入品の価格が上がって生活が苦しくなった」との批判もある。 こんなときいつも不満に思うのは、「円安(円高)とはなにか」という基的な説明が欠けていることだ。そう思っていたら、12月7日付の日経新聞朝刊に「円の『実力』40年で最低」という記事が掲載された。実質実効レート(円の「実力」)でみれば、いまの円安水準は1973年当時の1ドル=300円台に相当するのだという。 来であれば、「7年4カ月」よりもこちらの「40年」の方が強調されなくてはならない。通貨の価値はインフレ率によって変わるから、名目レートを比較してもたいした意味はない。 世界市場が統合された現在、来なら通貨もひとつ(「グローブ」とか)で充分なのだが、近代世界では通貨発

    a1ot
    a1ot 2015/01/08
    金利上昇を避ける政策の持続可能性「デフレ(低金利)で通貨が上昇する。日本が超低金利になってから円高基調。市場の歪みは、円高かインフレ(金利上昇→国債利払い費増→財政破綻)のいずれかによって解消される
  • 「差別のない明るい社会」を目指してほしい 週刊プレイボーイ連載(174) – 橘玲 公式BLOG

    なんのためかよくわからないまま衆院解散が決まりましたが、政党同士の足の引っ張り合いにつき合っていても仕方がないので、ここでは候補者たちに託したい前向きな提言をしてみましょう。 一般にリベラルとネオリベ(新自由主義)は、結果平等を求めるのか、機会平等でじゅうぶんだ(結果が不平等になっても構わない)とするかで分かれるとされます。しかしどれほどリベラルでも、私的所有権を否定する共産主義の理想社会(グロテスクなディストピア)を目指すひとはいないでしょう。一方、貧しい高齢者が餓死するのを見て、「機会は平等だったんだから自己責任だ」と突き放すネオリベもいないはずです。現代の政治的対立とは、同じ価値観を持つ者同士が、どこでバランスを取るかでいがみ合うことなのです。 しかしそれでも、機会が平等でなければ結果の平等もあり得ないわけですから、社会から差別をなくすことはあらゆる(民主的な)政治思想に共通の理想で

    a1ot
    a1ot 2014/12/08
    「もっとも広範な社会的差別は終身雇用・年功序列の日本的雇用が生み出すもの」
  • 「派遣」をめぐる議論はなぜいつも下らないのか 週刊プレイボーイ連載(172) | 橘玲 公式サイト

    労働者派遣法の改正案が国会で審議入りしたことで、派遣労働のあり方をめぐる議論が再燃しています。法案を提出した安倍政権は「身分の不安定な派遣社員の待遇改善や正社員化につながる」と力説しますが、野党は逆に「派遣を増やすだけだ」と反発しています。 とはいえ、この法案が世論を二分する論争になっているわけではありません。当の派遣社員も、「どうでもいい」「関心がない」と突き放しています。 この徒労感はどこから来るのでしょうか。それは政治家やメディアが、問題の質から目を背けているからです。 「派遣」という働き方が悪いわけではありません。それが政治問題になるのは、日の社会では派遣が「非正規」とされ、同じ仕事をしていても「正規」の社員と待遇が異なるからです。 ILO(国際労働機関)は同一労働同一賃金を基的人権としており、「正規」「非正規」の区別は現代の身分制と見なされます。「日は前近代的な差別社会だ

    「派遣」をめぐる議論はなぜいつも下らないのか 週刊プレイボーイ連載(172) | 橘玲 公式サイト
    a1ot
    a1ot 2014/11/25
    「日本では働き方をフルタイムとパートタイムに分け、フルタイムの労働者を会社の正式なメンバーとしています。しかし考えてみれば、労働時間の多寡で身分を決めるのも同一労働同一賃金の原則に反します」
  • お金はなぜ“汚い”のか 週刊プレイボーイ連載(20) – 橘玲 公式BLOG

    世の中のほとんどのひとは、お金を汚いものと思っています。それと同時に、「お金より大事なものはない」ともいいます。これはいったいどういうことでしょう。 この秘密は、私たちが異なるふたつの世界に暮らしているからです。 私たちにとっていちばん大事なのは親子や兄弟姉妹、夫婦や恋人との人間関係で、これを「愛情空間」とします。次に大事なのは友だちとの関係で、これが「友情空間」です。愛情空間や友情空間を含む、身近な知り合いの住む世界を「政治空間」と呼ぶことにしましょう。私たちの人生のほぼすべては、この政治空間のなかで営まれます。 政治空間の外側には、近所の八百屋のおじさんからアメリカ中国のインターネット通販業者まで、お金のやり取りでしかつながりのない茫漠とした世界が広がっています。これが、「貨幣空間」です。 貨幣空間(市場)はモノとお金を交換する世界ですから、お金がなければ生きていくことができません。

    お金はなぜ“汚い”のか 週刊プレイボーイ連載(20) – 橘玲 公式BLOG
  • 【書評】ウェブとはすなわち現実世界の未来図である – 橘玲 公式BLOG

    『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』の著者・小林弘人さんとは、小林さんが『 ワイアード日版』の編集長だった頃からのつき合いだ。書の制作にかかわった深沢英次さんは『 ワイアード日版』のテクニカル・ディレクターで、WEBサイトの責任者も兼務していた。深沢さんとはたまたま家が近所だということもあり、このブログのデザインと管理をお願いしている。そのことを最初に断わったうえで、小林さんの新刊を紹介したい。 著者はこれまで『フリー』や『シェア』でインターネット時代の新しいビジネスモデルを紹介してきたが、書のテーマは「社会はウェブをコピーする」というものだ。なぜそうなるかというと、ウェブとはテクノロジーやシステムのことではなく、人間と人間とをつなぐネットワークだからだ。著者はこれをヒューマン・ファースト(人間中心主義)と呼ぶ。 私の理解では、このことは次のように説明できる。 社会というの

    【書評】ウェブとはすなわち現実世界の未来図である – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2014/05/10
    「評価経済・評判社会では、参加者は利己的な動機から、高い評判を獲得しようと利他的に行動する」
  • 若者言葉はなぜ体育会化するのか?  週刊プレイボーイ連載(133) – 橘玲 公式BLOG

    「近頃の若い者は……」と説教するオヤジにはなりたくないのですが、それでも気になるのは「ありがとうございます」の多用です。近頃の若者は職場やバイト先で、上司からなにかいわれるたびに「ありがとうございます」とこたえているようです。 「そこはEXCELの集計機能を使えばいいよ」 「ありがとうございます」 「明日は早いから今日はこれで終わりにしましょう」 「ありがとうございます」 いずれも間違いとはいえませんが、もっとシンプルな返答があります。私たちの世代は(という言い方をしてしまいますが)、最初の例では「わかりました」、2番目の例では「そうですね」とこたえて、「ありがとうございます」とはいわなかったでしょう。 言葉は時代とともに変化しますが、「ありがとうございます」が若者のあいだでインフレ化するのは何を意味しているのでしょうか。 私がこの用法に違和感を持つのは、それが明らかに体育会言葉だからです

    若者言葉はなぜ体育会化するのか?  週刊プレイボーイ連載(133) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2014/02/10
    「体育会は〝前近代的で遅れた社会集団〟。あんなのといっしょにされたらカッコ悪い」
  • “リベラル”とはいったいなんだろう? 週刊プレイボーイ連載(118) – 橘玲 公式BLOG

    すこし前に「リベラルが保守反動になった」という話を書いたところ、「リベラルの定義はなんですか?」という質問をいただきました。これはなかなか難しいのですが、わかる範囲でこたえてみましょう。 まず、議論の前提として私たちは「近代」の枠組みのなかで生きています。近代というのは、政治思想的には、「自由」「平等」「人権」「民主政」などを至上の価値とする社会です。 ところで世界には、近代の理念とは別のルールで動いている社会もあります。代表的なのはコーランの教えに基づいて政治を行なうイスラム原理主義の国で、「神政」は「民主政」と水と油のように相容れません(それに対して中国のような一党独裁は民主政への移行過程とみなされます)。 かつては「文化相対主義」の名の下に擁護されていた近代とは異なる価値観は、9.11同時多発テロによって(すくなくともアメリカでは)全否定されました。「お前はテロリストを認めるのか」と

    “リベラル”とはいったいなんだろう? 週刊プレイボーイ連載(118) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2013/10/18
  • プレゼンでは大事なことは決められない 週刊プレイボーイ連載(117) – 橘玲 公式BLOG

    2020年の夏季オリンピック開催地が東京に決まり日じゅうが沸いていますが、ここで注目されたのがIOC委員会での最終プレゼンテーションです。とりわけパラリンピック走り幅跳びのアジア記録保持者で、東日大震災の被災者でもある佐藤真海さんのスピーチがIOC委員のこころを大きく動かしました。 「プレゼン」という言葉がテレビのワイドショーで繰り返されたのは、おそらく前代未聞のことでしょう。なぜならこれまで、日の社会にはプレゼンなど必要ないとされてきたからです。 サラリーマンなら誰でも知っていますが、日の会議にはそもそも議論というものがありませんでした。根回しによってあらかじめ結論は決められており、会議とはそれを各部門の責任者が了承する儀式だからです。この根回しを組織の外に拡張したのが談合で、公共事業の入札では、各社が見積もりを出す前に落札先が決められていました。 根回しや談合でないと意思決定で

    プレゼンでは大事なことは決められない 週刊プレイボーイ連載(117) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2013/10/07
    『根回しや談合でないと意思決定できないのは、日本が同質性が強く退出の難しい社会だからです。いったん恨みを買うといつまでも尾を引くのであれば、全員が納得するような解決策を探すしかありません』
  • ガラパゴスじゃやっぱりダメだよ 週刊プレイボーイ(116) – 橘玲 公式BLOG

    歴史論争を見ればわかるように、世の中の論争の大半はなにが正しいのか決着をつけることができません。歴史文書が残っていても、事実が正確に記されているかどうかはわかりません。タイムマシンが発明され、過去に遡って事実を検証できるようになったとしても、それをどう解釈するかは(自分たちに都合のいい)イデオロギーで左右されるでしょう。 ところがそのなかで例外的に、白黒の決着がつく論争があります。「市場原理」が正しい者に富を与え、間違った者を市場から追い出すからです。 2007年頃に、日市場で独自の「進化」を遂げた携帯電話の仕様が世界標準からかけ離れているとして、“ガラパゴス化”と揶揄されました。それに対して一部の論者が、「ガラパゴスでいいじゃないか」と反論しました。「日には日のよさがあるのだから世界に合わせる必要はない」「日ブランドはアジアではじゅうぶん戦える」というのです。 その後、2008年

    ガラパゴスじゃやっぱりダメだよ 週刊プレイボーイ(116) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2013/09/30
    「ガラパゴス化したひとたちの特徴は、『日本は特別だ』という肥大化した自我と、『世界では通用しない』という劣等感」
  • 第35回 意外に身近なミリオネア(橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG

    グローバル資主義を批判するひとたちがウォール街を占拠してから、「1%の金持ちと99%の貧乏人」というのはすっかり決まり文句になった。たしかに、とてつもない大金持ち(ビリオネア)がいる一方で中産階級が貧困層に没落していく構図は先進国に共通している。 しかしその一方で、まったく異なる景色を見せてくれるデータもある。 スイスの大手金融機関クレディ・スイスが2012年10月に発表した世界の富裕層ランキングによれば、純資産100万ドル以上を持つ富裕層は1位がアメリカの約1100万人(人口比3.5%)、2位が日の約360万人(同2.8%)、3位がフランスの約230万人(同3.6%)となっている。 「ワールド・ウェルス・レポート」(2012)ではイギリスの資産運用会社が、居住用不動産を除いて100万ドル以上の投資可能資産を持つ富裕層の数を推計している。それによれば1位はやはりアメリカの約300万人(

    第35回 意外に身近なミリオネア(橘玲の世界は損得勘定) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2013/09/21
    『2010年度の日本の世帯数は約5200万、1世帯あたりの平均は2.46人。ミリオネア世帯の比率を計算してみると、居住用不動産込みで人口の約7%が億万長者(自宅を別にすれば全世帯の約3.5%)』
  • シリア内戦―誰にも止められない殺し合い 週刊プレイボーイ連載(114) – 橘玲 公式BLOG

    「あらゆる問題は解決されるべきだし、解決できる」と考えているひとがいますが、世の中には原理的に解決不可能な問題が存在します(というか、実はそれがほとんどです)。そしてここに暴力(とりわけ国家の暴力)がからむと、目を覆わんばかりの悲惨な事態を招きます。中東・シリアでいま起きていることはまさにその典型です。 第一次世界大戦でオスマントルコが崩壊した後、中東はヨーロッパ列強の支配下に置かれ、歴史文化、民族構成とは無関係に分割されました。この時期、フランスの委任統治領だった地域が現在のシリアで、アラブ人が人口の9割を占めるもののクルド人やアルメニア人もおり、国民の7割がイスラム教スンニ派ですが、2割はシーア派、1割はキリスト教徒です。 シリアの政治権力を独占しているのはシーア派のなかでも少数派のアラウィー派に属するアサド一族で、空軍司令官だったハーフィズ・アル=アサドが1970年にクーデターで権

    シリア内戦―誰にも止められない殺し合い 週刊プレイボーイ連載(114) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2013/09/18
    「シーア派のアサド一族の背後にはイランとヒズボラ(レバノンのシーア派武装組織)がおり、それに対抗する反政府勢力はサウジアラビアなどスンニ派の大国と英米仏など“反イラン”の西欧諸国の支援を受けています」
  • リベラルが“保守反動”になった理由 週刊プレイボーイ連載(112) – 橘玲 公式BLOG

    社民党の福島瑞穂氏は、反原発の旗を掲げて参議院議員となった元俳優の山太郎氏と会談し、「リベラル勢力結集の要となりたい」と述べました。このとき社民党の所属議員は衆院で2名、参院で3名で、山氏が「結集」してもそれが4名になるだけです。それに対して議員定数は、衆院が480名、参院が242名です。 この会談のあとに福島氏は選挙の責任をとって党首を辞任しましたが、目標と現実のすさまじいギャップを考えれば10年間よく重責に耐えたともいえます。 ところで、リベラル勢力はなぜ日政治からいなくなってしまったのでしょうか。 リベラルはリベラリズム(自由主義)の略で、その根底にあるのは自由や平等、人権などの近代的な価値に基づいてよりよい社会をつくっていこうとする理想主義です。 リベラルが退潮したいちばんの理由は、その思想が陳腐化したからではなく、理想の多くが実現してしまったからです。「いまの日には真の

    リベラルが“保守反動”になった理由 週刊プレイボーイ連載(112) – 橘玲 公式BLOG
    a1ot
    a1ot 2013/09/02
    『憲法護持、TPP反対、社会保障制度の「改悪」反対、原発反対。原発を除けば、主張はほとんどが現状維持』『リベラルが退潮した理由は、その思想が陳腐化したからではなく、理想の多くが実現してしまったから』