何が私をこうさせたか。私自身何もこれについては語らないであろう。私はただ、私の半生の歴史をここにひろげればよかったのだ。心ある読者は、この記録によって充分これを知ってくれるであろう。私はそれを信じる。 間もなく私は、この世から私の存在をかき消されるであろう。しかし一切の現象は現象としては滅しても永遠の中の実在の中に存続するものと私は思っている。 私は今冷静な冷ややかな心でこの粗雑な記録の筆を擱く。私の愛する凡てのものの上に祝福あれ! 「手記の後に」 wikipedia:金子文子の獄中手記、半生記である。金子文子? 金子ふみ子? それとも、冒頭「添削されるに就いての私の希望」に記されている「金子ふみ」? そう、いずれとも定まらぬような、無戸籍者として生を受け……と、書き出したいところだが、女性の名前の○○子の「子」がつくかどうかはわりと曖昧な時代があったようなのでなんとも言えぬ。自分の親戚に
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