2016年11月に公開されて以来、大ヒット上映中の映画『この世界の片隅に』。3月3日(金)には、第40回日本アカデミー賞「最優秀賞アニメーション作品賞」の受賞が決まりますます注目が集まる本作。ダ・ヴィンチニュースは、『この世界の片隅に』監督の片渕須直さんと『機動戦士ガンダム』などを手掛けてきた日本を代表するアニメ監督・富野由悠季さんの対談に密着。おニ人の対談の模様が配信される文化放送のインターネットオンデマンド配信サービス「AG-ON Premium」の収録現場に伺った。 富野監督『この世界の片隅に』から戦争と歴史を語る ――今回、映画『この世界の片隅に』をご覧になった富野由悠季監督と、片渕須直監督とのはじめての対談になります。本日はよろしくお願いいたします。 富野由悠季監督(以下、富野): よろしくお願いいたします。『この世界の片隅に』を観て、開始10分くらいで衝撃を受けたことがあります
映画を見た帰り道、ふっと涙が出て止まらなくなった。ここがよかった、と一口で言うのは難しい。が、なんともいえない感動にくるまれる。時を置いて涙が出る。 「この世界の片隅に」。こうの史代さんの漫画が原作のアニメ映画である。すずさんという絵が好きな、普通の、明るい女性に焦点を当て、戦前から終戦直後までを描く。 地味なテーマだったからだろう、資金集めに苦労した。ネット上のクラウドファンディング(一般からの資金調達)を足がかりにようやく完成、昨年11月に封切られた。上映館は30都道府県の63館に過ぎなかった。 ところが、そこから快進撃が始まる。口コミやSNSで「この映画いい。ぜひ見て!」などと反響が広がったのだ。2016年のキネマ旬報ベスト・テンでは大ヒットした「シン・ゴジラ」(2位)や「君の名は。」(圏外)を抑えて日本映画の1位に。上映館は増え続け、2月下旬で301館に達している。 主な舞台は広島
物語の前半では、宣教師として江戸時代の日本に渡ったロドリゴ神父(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ神父(アダム・ドライバー)と、弾圧される隠れキリシタンたちとの出会いが描かれます。中でもモキチ(塚本晋也)はひときわ信心深く、ロドリゴ神父の心に最後まで希望の明かりを灯し続ける存在。そのモキチを演じることは、精神的にも肉体的にも過酷だったようです…! ■終わった瞬間に「こみ上げた」という緊迫のシーンは、なんと2日目に撮影! ――実際に現場に入っていかがでしたか? 本当にドリーム・カム・トゥルーですよね(笑)。もう頂点と言ってもいいような夢の実現という感じなので、本当に夢の中にいるような、ここが一番頑張りどころだと、まざまざと意識しながらやっていました。 映画がもともと好きなわけですし、ましてやスコセッシ監督の現場ですから。そして監督は萎縮させることもせずにのびのびやれと体で表しているので、
『タクシー・ドライバー』を始めとした数々の名作で知られるマーティン・スコセッシ監督の最新作は『沈黙−サイレンス−』(原作:遠藤周作)。江戸初期のキリシタン弾圧下の長崎を舞台に、宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)の苦悩を通し、人間の内面と深く向き合った大作で、本年度アカデミー賞最有力候補にもなっています。 ロドリゴ神父と心を通わせる“隠れキリシタン”モキチを演じたのは、映画監督として『鉄男』から『野火』まで重厚な作品を生み出し続けながら、俳優としても活動の幅を拡げる塚本晋也さん。第1回インタビューでは、現場で感じたスコセッシ監督の映画制作への姿勢について伺います。 ■優しく、しかし“獰猛”(どうもう)なスコセッシ監督 ――あのスコセッシ監督の映画にご出演されるとはうらやましい限りです! みなさんに言われます(笑)。お会いしたのは最初のオーディションの時で、その時も、僕が来ることを
小さな公開規模から興行収入10億円が視野に入った異例のヒット作『この世界の片隅に』を読者のみなさんは見ただろうか。戦時中に、広島から呉に嫁いだごく普通の女性の日常を、素朴なタッチで丁寧に描いたアニメ作品だ。小規模な公開でスタートしたが徐々に上映館が広がり、興行収入10億円が見えてきた。『君の名は。』の空前のメガヒットがあった一方で、規模は違うがこちらも異例の大ヒットとなっている。 この映画の製作は株式会社ジェンコ、プロデューサーは同社社長真木太郎氏がクレジットされている。実は筆者は真木氏を前々から知っており、このたびあらためてインタビューをお願いした。この映画はパイロットフィルムの費用をクラウドファンディングで募ったことも話題になった。聞きたかったのは、それが製作や宣伝にどう影響したのかだ。真木氏とは旧知の関係なので友だち口調でしゃべってくれたのを、あえて丁寧体にせずそのまま記事にした。ざ
話題に事欠かない作品である。まず、この映画は「クラウド・ファンディング」というスタイルで一部の資金を調達し、製作されている。つまり、一般も含めて多くの方面から出資金を出してもらい、それを集めて製作費に充てたというわけだ。ここがまず1つの話題。 第二に、主人公の声を「のん(かつての能年玲奈)」が充てていること。「あまちゃん」以降、下降気味だった彼女の人気回復作となったことは間違いない。 第三に、全国数十カ所での限定公開であったはずが、口コミで話題となり、ついに来年全国ロードショーへと拡大公開へこぎ着けたこと。通常、人気映画は公開第1週がトップで、次第に下降線をたどっていくのだが、これだけは真逆であった。つまり公開日数を経るほど収益が伸びている。 あの「君の名は。」ですら第4週以降は次第に下降していったのに、この作品だけは、公開から1カ月たっても収益が伸び続けるばかり。SNSでの評価も異様に高
「エヴァンゲリオン」シリーズなどを製作する会社「カラー」が10周年を迎え、同社代表の庵野秀明監督(56)がインタビューに応じた。総監督を務めた「シン・ゴジラ」や「エヴァンゲリオン」シリーズへの思い、日本アニメ界の展望を聞いた。 《今夏に公開された「シン・ゴジラ」は、シンプルな物語と徹底したリアリズムで大きな話題を呼んだ》 手がけてみて、意外にゴジラを現実社会に持ち込みやすいことに気づきました。作品の中の嘘がゴジラの存在だけなので、シンプルなんです。 ストレスだったのは、「主人公の恋人や家族の問題などの人間ドラマを入れてほしい」という、プロデューサーの要求でした。ゴジラ映画はそんなものがなくても成立するんですよ。僕はスポンサーの意見をむげに否定はしません。でも、作品にとって、それは違うというときはなるべく排さないといけない。 後は、リアリティーを強めるために取材を重ねていくのは大変でしたね。
こうの史代の同名漫画をアニメ映画化した「この世界の片隅に」の評判がいい。全国映画動員数ランキング(興行通信社調べ)によると、公開2週目も10位を保ち、週末動員(19、20日)は前週比124%の11万7千人に上った。このため、公開時に63館だった上映館を26日から78館に拡大した。大ヒットとなったランク1位のアニメ映画「君の名は。」は大手映画会社の東宝グループの力もあり、上映館が約300館とけた違いだが、「この世界の片隅に」も健闘しているといっていいだろう。 好評な理由の一つが、ヒロインの「すず」の声を、久しぶりに仕事復帰した女優の能年玲奈改め「のん」が担当していることだ。すずは広島市生まれで、絵が得意。昭和19(1944)年に、広島から20キロ離れた呉に18歳で嫁ぎ、戦況が進む中で日々の食卓を作り出すための工夫を凝らす。のんにはもともと絵心があり、裁縫も得意とあって創造的なところがすずの人
第16回:ジブリのその先の到達点! のん主演「この世界の片隅に」ドキュメント・レビュー汐留ホールでゼロ号試写が終わったのは、9月9日の昼過ぎ。それは、片渕須直監督の6年越しの悲願が叶い、ようやく「映画」となって世に送り出される瞬間だった。深く長い余韻を残す作品だ。さまざまな感情が呼び起こされる。温もり。郷愁。ときめき。悲しみ。断念。恐怖。怒り。焦燥。安らぎ。そして希望――。広島県を舞台とするアニメーション映画「この世界の片隅に」は、昭和8年の暮れで幕を開け、ごく普通の少女すずの成長を追い、やがて太平洋戦争が始まる。「ありゃあ」「弱ったねえ」…広島の方言を愛らしく発するすずを演じた、のん(本名・能年玲奈)の声が絶品だ。昭和18年に軍港の町・呉へと嫁いだすずを中心に、戦時下のごく普通の暮らしが丹念に、テンポよく積み重ねられていく。物資は徐々に欠乏していったものの、思いの外、のどかさが保たれてい
撮影の一部始終が明かされる(C)FILM-IN-EVOLUTION - LES PRODUCTIONS BALTHAZAR - FRAKAS PRODUCTIONS - LFDLPA Japan Film Partners - ARTE France Cinema [映画.com ニュース] 「岸辺の旅」「クリーピー 偽りの隣人」の黒沢清監督が、海外初進出を果たした「ダゲレオタイプの女」(公開中)の7分超に及ぶメイキング映像が、公開された。撮影を「私の男」の熊切和嘉監督が手がけている。 熊切監督は、「私の男」で第36回モスクワ国際映画祭の最優秀作品賞を受賞しており、「岸辺の旅」で第68回カンヌ国際映画祭ある視点部門の監督賞に輝いた黒沢監督と共に国内外から熱視線を注がれている。両者のコラボレーションは映画ファンにとって垂ぜんものといえるが、熊切監督は仏パリで行われた本作の撮影にほぼ参加し、撮
フランス映画らしく、黒沢作品にしては珍しくラブ要素も多し! - (C) FILM-IN-EVOLUTION - LES PRODUCTIONS BALTHAZAR - FRAKAS PRODUCTIONS - LFDLPA Japan Film Partners - ARTE France Cinema 『回路』(2000)、『岸辺の旅』(2015)などホラー&スリラー映画の名手・黒沢清監督が初めてフランスで撮り上げた映画『ダゲレオタイプの女』でプロデューサーを務めたフランス在住の吉武美知子が、黒沢作品が圧倒的にフランスでウケる理由を語った。 【動画】幽霊屋敷が舞台の黒沢清監督初のフランス進出作 『回路』で第54回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を、『岸辺の旅』で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・監督賞を受賞するなど、黒沢監督はすこぶるフランスで人気が高い。そこで黒沢監督にフランス
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