ひきこもりというのは奥が深い。相談を受けることも稀ならずあるが、どれも一筋縄ではいかない。明らかに統合失調症やうつ病などが関与していると思われるケースは、実は対応しやすい。先輩たちが築き上げた治療方法というレールがあるので、そこへ乗せるまでの苦労だけだ。しかし、原因が一見しただけでは分かりにくいひきこもりは、まずレールそのものを用意しないといけない。大学で学ぶ精神医学、あるいは最初に赴任した精神科救急病院では、そういうひきこもりケースに用意するべきレールなど教わらないし、もちろんレールへの乗せ方も習わない。見よう見まねといったって、見るべき先輩がいないのだ。そこで、本書のような本が非常に役に立つ。 これは研修医時代に精神科を志すと決めてから読んだ本。以下、印象的な部分を抜粋する。 引きこもりが心因性か統合失調症によるものかの見分け方。主治医が手紙を書いて、それを親から本人に手渡してもらう。