日本アニメ界の鬼才・幾原邦彦。代表作『輪るピングドラム』10周年記念プロジェクトである、映画『RE:cycle of the PENGUINDRUM』前・後編の公開をうけて、気鋭の文筆家が幾原監督の他作品にもふれつつ、『輪るピングドラム』その可能性の中心を読み解きます。 革命から取り残されたのは誰だっただろう? 幾原邦彦監督作品は常に、傷ついた子ども達の味方だった。 それは解放を志向していた。どれほど重苦しいテーマが描かれようとも、最後には何かしらの形で脱出が試みられていたのだ。けれども世界が革命され、運命が乗り換えられ、断絶の壁が越えられ、身も心もさらけだすさらざんまいで未来が目指され、あらゆる仕方で解放が描かれる中で、常にそこから取り残されていた人とは誰だっただろうか? 棺の奥深くに閉じ込められたまま決して解放されない〈花嫁〉とは、誰なのだろうか。 薔薇の花嫁とは何か たとえば『少女革