2001年4月、世界で初めてオランダで安楽死法が成立し、翌年4月に施行されてから11年が経った。オランダの他、国によって事情は違うが、ベルギーやスイス、アメリカの4州の法律で安楽死は認められている。 安楽死法を研究する元最高検察庁検事の土本武司氏(筑波大学名誉教授)が解説する。 「オランダにおいて安楽死とは、患者の要請に従って医師が注射や服薬によって生命を終わらせる“積極的安楽死”のことを指します。日本では“尊厳死”と呼ばれ、延命治療を控えることで死期を早める“消極的安楽死”は、通常の医療行為に含まれ、安楽死とは見なされません。 適用基準は厳格です。患者の希望が自発的で熟考されていること、苦痛が耐えがたく改善の見込みがないことなどの条件を満たせば、医師は処置をしても刑事責任は問われません。ただし、処置後の審査で条件を満たさないと判断されれば、医師は最高で禁固12年の刑を受けることになります