「このような音ではない」という言葉が何を否定しているのかは、いろいろな捉え方がある。まず、直接的に3つの楽章を否定していくのは終楽章冒頭の低弦のレチタティーヴォだ。ノッテボームなどの研究によれば、ベートーベンのスケッチではこの器楽によるレチタティーヴォの旋律に歌詞が書き込まれている。スケッチの旋律はまだ未完成であるものの、最終的なレチタティーヴォと次のような対応関係がある: 1楽章が回顧されたあとのフレーズには「o nein, dieses nicht, etwas anderes gefälliges ist es was ich fordere(いや、これではいけない、もう少し違ったものを、快いものだ、私の求めているのは)」 2楽章の断片のあとでは「auch dieses nich, ist nicht besser, sondern nur etwas heiterer(これもだめだ
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