1960年代からライフワークとしてプログラミング本の執筆を続けているドナルド・クヌース氏(1938~)。構想では全7巻に及ぶというその本は、執筆開始後50年を経て、まだ第4巻第1部までしか刊行されていない。 クヌース氏は米ミルウォーキーの生まれ。大学に進む際には、子供のころから好きだった音楽の道も考えたが、結局、ケース工科大学で物理学を学ぶことにした。 ここでクヌース氏は初期のメインフレーム機IBM650と出合う。マニュアルを読みながら習得したプログラミングが各所で評価され、数学専攻に転向。60年に学士号と修士号を同時に取得した。 カリフォルニア工科大学に移り、63年に博士号を取得すると、同大で教鞭を取りつつ、アルゴリズム解析を論じた「The Art of Computer Programming(プログラミングの方法)」の執筆に着手。76年に3巻目を刊行した後、組版方式が大きく変わり、コ