マンガ雑誌を読む習慣が無い。正確に書くと、読むことができない。「途中から始まり途中で終わる複数の作品が同時に掲載されている」という構成が、頭に入って来ないのだ。だからマンガはもっぱら単行本で読むことになる。好きな作品も、雑誌連載は追えないので、次の単行本が出るまで続きは読まない。その間にストーリーを忘れることも多く、新巻が出るたびにイチから読み直すはめになる。 そんなマンガ雑誌を読む才能がない僕にも、人生で唯一、毎週夢中になって追いかけたマンガ雑誌がある。80年代後半から90年代半ばにかけての『ビッグコミックスピリッツ』だ。 当時の『スピリッツ』には『伝染るんです』『サルでも描けるまんが教室』、『美味しんぼ』など、マンガ史に残るキラ星のような作品群が掲載されていた。『伝染るんです』のタイトルが突然『沈黙の艦隊』に変更されるなど、雑誌ならではの実験的な表現で、読者の度肝を抜いた。そこには、そ