(1)発音が簡単(2)英仏語のような動詞活用がない(3)動詞が文末に来る(4)形容詞は文である、とこれまで日本語の特徴を並べてきた。今回もさらに2点、加えてみよう。 (5)修飾語が被修飾語に先行する。つまり、形容詞は名詞の前に来るし、副詞は動詞の前に来るのが原則だ。何だ当たり前じゃないか、と思われるかも知れない。ところがモントリオール大学の大半の学生の母語であるフランス語では、これが2つとも逆なのだ。「丸いテーブル」は「une table ronde」だし、「早く食べる」も「(Je) mange rapidement」としか言えない。 ははーん、日本語の修飾語は英語と同じ語順なんだな、と学生がよく勘を働かせるが、実はそれは早合点である。確かに英語でも形容詞は名詞の前に来る。一方、副詞はしばしば動詞の後におかれる。そしてさらに決定的に違うのは、修飾部分が文(学校文法では「節」という)である場
「食べます」という日本語の文の意味は「Je mange. Tu manges. Il mange. Elle mange. Nous mangeons. Vous mangez. Ils mangent. Elles mangent. On mange.」のどれかだが、そのどれかはこの文からだけでは分からず、それを決定するのは文脈だ、ということを前回述べた。 これを聞いた学生が一様に驚くので、2つの言語の間に1対1に完全に対応する文はあまりないのだと説明する。共通点の多い英語とフランス語の間にだってそれは言えるのだ。例えば、ある英語の小説の中に「You are kind」という文があったとしよう。こんな簡単な文ですら、文脈を無視したらとても仏訳は出来ない。様々な可能性があるからだ。全ては「You」がどんな人物かにかかっている。男性か女性か。親しい人か親しくない人か。さらに、一人か二人以上か
夏の3か月を名古屋で過ごしたこともあって、しばらく書き込みを怠ってしまった。これをいい機会にここいらで一度初心に帰り、「日本語の特徴」という大きなテーマで数回話してみたい。 9月からまた新学期が始まった。一度やったら好評だったのに気をよくして、日本語一年生の最初のクラスの冒頭に「日本語の特徴」を話すことにしている。日本語に関心は持っているものの、一体どんな言葉なのか全く知らない学生がほとんどなので、学生の母語である仏語や英語と比較してどういう点で日本語は違っているのかを10点ほど挙げ説明する。大掛かりな旅行に出る前に地図を見せながら見所を話す様なものだから、学生は目を輝かせて聞いてくれる。相手は子供ではないのだし、この導入部分は直接法(Direct method)でいきなり日本語を使うよりも学生の母語で説明した方が遥かに効果的だ。日本語話者の皆さんにも、日本語の性質が改めて理解出来たり、英
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