江戸時代、朝鮮との外交や貿易を一手に担った対馬藩の記録「宗家文書(そうけもんじょ)」について、長崎大の木村直樹教授(日本近世史)らの研究チームがインターネット上で一括閲覧できるデータベース(DB)を開発する。宗氏を藩主とする対馬藩が残した13万点超の文書や絵図は、近世外交の「一級史料」とされるが、全国に散在するため解析が進んでいない。史料へのアクセスを容易にすることで研究の裾野を広げ、全容解明につなげたい考えだ。 地理的、歴史的に朝鮮半島と近く、江戸幕府との橋渡しを担った対馬藩。豊臣秀吉の朝鮮出兵で断絶した国交の回復のため、偽造した朝鮮国王の印や書状を幕府に届けるなど、策を巡らした。江戸や釜山に拠点を置き、朝鮮外交の実務や貿易を担うことで藩財政を潤わせた。 宗家文書13万点は一つの大名家史料としては屈指の規模で、うち6万8千点が国重要文化財。偽造した朝鮮国王印や藩政を記録した「毎日記」など