タモリという男は不思議だ。日本全国のほとんどが彼の存在を知っている。しかし「タモリがどんな人か」をつかめている人は少ないだろう。例えば、彼は小学3年生のころに、けがをして右目を失明している。この重大な事実はあまり知られていない。 また、タモリは肩書きの付けようがない。いわゆる”ゆとり世代”だった少年期の私にとって、タモリといえば「お昼にサングラスをかけている、あやしい司会者」だった。しかし、その後、深夜に『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)を観たときに「あっ、この人は芸人なのかも」と直感した記憶がある。 芸人、司会者、俳優、ミュージシャン……どれもタモリの側面を表した言葉でしかない。その結果、彼は「タレント」という超便利な言葉で呼ばれる。 「日本でトップクラス並みに有名なのに、まったくつかみどころがない」。タモリという男はまったく飄々(ひょうひょう)とした”不思議な人”だ。その背景には、彼の”