アダム・ファーガソン著「ハイパーインフレの悪夢」(参照)は、1923年、ドイツで起きたハイパーインフレーション(過度なインフレーション)を扱った歴史書である。 第一次世界大戦勃発前夜の1913年、ドイツのマルク、イギリスのシリング、フランスのフラン、イタリアのリラの4種の通貨の価値はほぼ等しく、対ドルレートは4ないし5程度だった。が、この1923年末、他の3通貨に対してマルクのレートは1兆を越えた。事実上、マルク紙幣は紙ゴミに帰した。なぜそのような異常なインフレが起きたのか。 ドイツといっても時代は第一次世界大戦後、1919年に発足したヴァイマル共和政の時代である(同政体は1933年に崩壊)。本書は、この異常なハイパーインフレの史実について、ヒトラーを生み出してしまったヴァイマル共和政の歴史としても描かれている。 上述、この時代のハイパーインフレの基点を1913年としたが、これは本書・著者