地方の自治体や商工会、有志らがかかわり、地元を舞台にした「地方発映画」がじわりと増えている。大半は一流の監督と俳優を起用。収支が見えない“水もの”の映画作りに、リスク覚悟で挑むのはなぜか。「地方発映画」の狙いと可能性は?【鈴木隆】 10月16日に全国公開される「桜田門外ノ変」。水戸浪士が大老・井伊直弼を襲撃した事件の映画化だ。首謀者の出身地は茨城県中部と北部。08年8月に県内の市町村、企業、団体、市民などが地域発案型の映画を作る目的で「映画化支援の会」を組織した。「ある調査では茨城県のイメージは最下位に近かった。また、09年は水戸藩開藩400年の節目だったが地元の人でさえ知らず、事件も水戸藩士が歴史を変えるきっかけになったのにあまり知られていなかった」と県広報戦略室室長補佐で支援の会事務局長補佐の橘川栄作さんは話す。 会は「未完の対局」などで知られる佐藤純弥監督に製作を依頼、オープンセ