いつの時代も世界中で人々を魅了してきた黄金。宝飾品として、安全資産として、さらに世界のアスリートが夢見るメダルの色としても。しかし、そうした黄金がよりによってテロリストの資金源になっているとしたら…。過激派組織IS=イスラミックステートが勢いを増しているアフリカの西部。そこで金の違法な採掘をしている実態が明らかになった。闇の資金ルートを追った。(ヨハネスブルク支局長 別府正一郎) 「最近、やけに増えているな」 ニジェールで政府軍の基地が襲撃され、兵士89人が死亡。ブルキナファソの教会でテロ、市民24人死亡。南アフリカのヨハネスブルクに駐在し、アフリカ大陸の国々を取材する私にとって、テロや襲撃事件の原稿を書くことは珍しくはない。しかし、去年から今年にかけ、西アフリカのニジェールやマリ、ブルキナファソといったサハラ砂漠周辺のサヘル地域の国々で治安がいっそう悪化していることは気にかかっていた。