「あー、こっちこっち!」。事前にいただいた自宅の住所を目指し、スマホで地図を見ながら歩いていると、遠くから聞き覚えのある明るい声が聞こえた。振り向くと、笑顔で大きく手を振るテンテンさんの姿が見えた。 ミャンマーで生まれたテンテンさんと出会ったのは10年ほど前、難民支援協会の活動を通じてだった。彼女は現在、医療通訳者として働きながら、日本から母国の民主化を求める活動も続けている。 テンテンさん。1973年生まれ。1998年に日本語学校の留学生として初来日。その後、2009年に難民認定を得る。現在は医療通訳者としてクリニックで勤務しながら、在日ビルマ市民労働組合(FWUBC)書記長として同胞の支援活動にも従事。夫と娘の3人で暮らす。写真:田所瑞穂(以下同) 今から4年前の2021年2月1日、ミャンマーで国軍によるクーデターが起きた。長い軍政時代を経てようやく実現した2011年の民政移管から、1