伊藤詩織さんの勇気ある行動のおかげで、2019年は日本の「#MeToo」元年となった。「#MeToo」のハッシュタグが生まれたのは、ハーベイ・ワインスタインによる長年のセクハラやレイプが暴露された2017年。だが、その1年前にも、アメリカでは、権力を持つ男がセクハラで訴訟され、会社を追いやられるという出来事が起こっている。 その男は、FOXニュースチャンネルの元会長兼CEOのロジャー・エイルズ(故人)。超保守派でトランプの友達でもあった彼は、ヒラリー・クリントンを強力に支持していたリベラル派のワインスタインと一見正反対のようだが、立場を利用し、女性たちに望まない行為を強要したのも、拒否されれば職を奪ったのも同じだ。 男性監督が「女性視点の映画」を撮る意義 現在アメリカで公開中の『スキャンダル』(日本公開は2020年2月21日)は、その裏側を描く実話映画。主要な登場人物は、訴訟を起こしたキャ
