私事である。年末から家に預かっていたざりがにが突然死んだ。え?と最初思った。理由が思い当たらない。もちろん、ざりがにと暮らしたことのない人間にとって、ざりがにの死の理由というのは、恐らく、他人の死と同じほどに、意味のないことかもしれない。しかし、私には、ちょっとした驚愕だった。正月あたりから、やばいな、情が移っているな、と自覚していた。こいつが死んだらどうしようと思うと眠れなくなった。すると、彼女はごそごそと騒ぐのである。そう彼女。メスだった。なぜメスかとわかるかというと、私はざりがにの雌雄を見分ける技術に長けているから、というわではない、気が付くとたくさんの子を産んでいたからだ。腹から尻尾というのか、その裏に無数といっていいほど、ある日、貼り付いていた。ふーん、と思った。やけに小さいものだなと思った。私は眼が悪いのだが、眼をこらすと、その小さい生き物はかみじんこのような形状ではなく、ざり
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