ガザ 岡真理 ――現代のことば 京都新聞2008年11月27日(木)付 一九九〇年代初頭、パレスチナ人画家が来日した。四八年、ユダヤ人国家の建設に伴う民族浄化で、彼は生後まもなく難民となった。以来、ガザの難民キャンプで暮らす。彼がガザを出たのはその時が初めてだった。来日して一週間ほどして、取材した記者に歳を訊かれて彼は言った。「私の年齢は七日だ」 日本に来て初めて、自分は、人間が生きるということはどういうことかを知った。日本で日本人が生きるこの暮らし、これが人間が人間として生きるということなら、これまで自分はひとたびも生きたことなどなかった。だから、自分の年齢は七日なのだと。 ガザ地区…国連パレスチナ難民救済事業期間(UNRWA)によれば、ガザの人口は百四十万、その大半が彼と同じ、四八年のイスラエル建国で故郷を追われた者たちだ。難民登録している者だけで百万を超える。その半数近くが、六十年
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