新型コロナウイルスの感染拡大が続き、世界の株式が大きく売られるなかで、原油価格の急落に不安を感じる人が増えています。でもちょっと待って。原油が安くなれば、ガソリンの値段や企業が製品をつくる際の燃料代などが下がり、経済、つまり私たちの暮らしにとって良いことのように思えます。ただ実際には、原油安で世界の株式はさらに大きく売り込まれました。なぜ人々は原油価格の下落を怖がるのでしょう。産油国間の交渉が決裂
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、なぜ円高ドル安が進むのか。一つはアメリカで感染拡大が続き、世界最大の経済大国の景気落ち込みを懸念したドル売りが起きているためです。 ところが先月下旬、アメリカ国内で感染が相次いで確認されると市場の雰囲気が一変し、アメリカ経済が先行きが不安視されるようになりました。 特に、ここ数日、ニューヨーク州などで相次いで非常事態宣言が出されたことで投資家の懸念が一気に強まり、9日の東京外国為替市場では、ドルを売って円を買う動きが加速。 一時、1ドル=101円まで円高ドル安が進みました。 また、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会が3日に決定した緊急の利下げも背景の一つです。 FRBが、市場の動揺を抑えようと大幅な利下げを決めたことで、外国為替市場では金利の低くなったドルが、以前よりも売られやすくなっています。 さらに、国際的な原油価格の急落が市場の
新型コロナと世界の航空業界 中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大している。感染拡大に伴い、世界全体で人の移動に支障が出ており航空業界に深刻な影響が出ている。一部の報道によると、1月下旬を基準とした場合、中国向けの航空便は日韓で50%程度、米国やタイで70%以上も削減された。航空旅客の減少は、航空業界の収益に打撃を与える最も重要なファクターの一つだ。また、旅行者の減少で、世界各国の観光や飲食、小売りなど幅広い影響が懸念される。 新型肺炎の発生によって、中国で生産活動に重大な支障が生じている。中国を起点とするサプライチェーンの混乱から、生産活動が低下し航空貨物の取り扱いも大きく低下している。 2002年後半から2003年前半、重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した当時、中国経済は10%近い成長を実現していた。一方、現在の中国は深刻な景気減速に直面しており、SARS発生時と
円安は、景気は押し上げないのに株価は押し上げます。今回は、久留米大学商学部の塚崎公義教授がその理由について解説します。 円安は景気を押し上げない 円安が景気を押し上げると言われますが、最近は円安になっても輸出数量があまり増えず、国内生産の増加に結びつかないため、円安の景気押し上げ効果は人々が考えているより小さいようです。 ちなみに、輸出企業が海外から持ち帰ったドルが高く売れるために利益が増えるわけですが、これは景気には効きません。一つには、輸出企業が高く売れた儲けと輸入企業がドルを高く買わされた支出増が概ね同じ金額だからです。 もう一つには、輸出企業の利益が設備投資や給料増には使われないからです。詳しくは前回の拙稿『アベノミクスで円安になっても景気の押し上げ効果が薄かった理由』を御参照いただければ幸いです。 しかし、「円安になると株価が上がる」ということは言えそうです。「円安の効き方が、景
中央銀行による「衝撃と畏怖」の時代は終わった。10年を超えて危機対策に取り組んできた主要国・地域中銀は、次の下降局面と闘う有効な選択肢がほとんどない状態で新たな10年を迎えようとしている。 世界中の中銀が2008年以降に実施した計750回余りの利下げで、金利は既に歴史的な低水準かマイナスになり、恩恵より弊害をもたらしているのではないかとの懸念が高まっている。 同時に、主要中銀は再び量的緩和(QE)で債券を購入している。12兆ドル(約1303兆円)を超えるこれまでの購入ではインフレを回復させるのに十分ではなかった。
高齢者の消費は安定している 高齢者の消費は安定しています。主な収入は年金ですから当然安定していますし、老後のための貯蓄を取り崩すとしても、毎月一定額を取り崩して生活する人が多いでしょう。したがって、個人消費に占める高齢者の消費が増えると、個人消費が安定するので、景気が安定するのです。 高齢者の消費が安定しているということは、高齢者向けの仕事をしている人の収入も安定している、ということですから、彼らの消費も安定しているでしょう。労働者に占める高齢者向けの仕事をする人の比率も上がって行くでしょうから、これも個人消費を安定させる要因となります。 極端なことを言えば、現役世代が全員高齢者向けの仕事に従事している国では、景気の変動は一切ありません。もちろん、これは極論ですが、方向としては少しずつそちらに日本経済が近づいていることは間違いないでしょう。 少子高齢化によって労働力不足となる 少子高齢化が
<平均名目成長率を寄与度で分解したグラフからは興味深い事実が読み取れる。アメリカとドイツは経済構造と成長の実態が合っており、つまりこれは両国の設備投資は有効だということ。その一方で日本は......> 前回の記事では、壮大な経済政策を打ち出さなくても、個別の問題について適切に対処するだけで、日本経済は十分に成長できると述べた。個別に対処すべき課題の中でも特に影響が大きいのが企業の設備投資である。日本企業の設備投資は、極めて効率が悪く、これが全体の成長に深刻な影響を及ぼしている。設備投資の内容を精査するだけで、日本経済の状況は一変するはずだ。 日本設備投資は深刻な問題を抱えている 経済成長において企業の設備投資が果たす役割は大きい。定義上、工場や店舗などに対する設備投資はGDP(国内総生産)にカウントされるので、設備投資が増えれば、その分だけ国民の所得も増え、経済成長に貢献する。だが個人消費
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景気対策で消費税率をゼロにするという発想は悪くないが、色々問題が多い、と久留米大学の塚崎公義教授は説きます。 発想は悪くないが、問題は景気対策の規模と、景気対策手段の選択 減税によって景気後退リスクを軽減し、経済成長を確実なものとし、かつ庶民に優しい消費税率引き下げという手法を採用しよう、という政策は、発想としては悪くないと思います。 積極財政論者である筆者から見ると、現在の情勢下では、減税するリスク(財政赤字拡大が様々な問題を引き起こす可能性)より減税しないリスク(景気が後退に転じるリスク)の方が大きく見えます。 諸外国の景気後退等の影響で国内景気が後退に転じる可能性は決して小さくないので、積極財政が求められていると思っています。 しかも、法人税や所得税の減税と比べると、消費税率引き下げは庶民に恩恵が及びやすく、したがって消費の刺激策として優れた効果が見込まれるでしょう。 しかし、実際に
『ショック・ドクトリン』(英語: The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism)は、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインが2007年に著した書籍。マイケル・ウィンターボトムによって2009年にドキュメンタリー化された。 クラインは、2007年9月に本書[1] を出版。三十数か国語に翻訳され、日本語版は2011年9月に刊行された[2]。 クラインはシカゴ学派 (経済学) のミルトン・フリードマンを批判した。フリードマンはケインズ主義に反対して「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」と述べるなど徹底した市場原理主義を主張したが、クラインはこうした主張を「ショック・ドクトリン」と呼び、現代の最も危険な思想とみなしている。そして、近年の悪名高い人権侵害は、反民主主義的な体制による残虐行為と見るばかりでなく、民衆を震え上がらせて抵抗
ロバート・オウエン(Robert Owen、1771年5月14日 - 1858年11月17日)は、イギリスの実業家、社会改革家、社会主義者。人間の活動は環境によって決定される、とする環境決定論を主張し、環境改善によって優良な性格形成を促せるとして先進的な教育運動を展開した。協同組合の基礎を作り、労働組合運動の先駆けとなった空想社会主義者。「イギリス社会主義(英語版)の父」とされ、初めて本格的な労働者保護を唱えたとされる[1]。ロバート・オーウェンあるいはロバート・オーエンの表記ゆれがみられる。 ロバート・オウエン 1771年、ロバート・オウエンは、北ウェールズ地方モントゴメリーシャー(英語版)のニュータウン(ポーイス)(英語版)で、小手工業者の子として生まれ、10代で商店に奉公して各地を転々とした。この間に産業革命にともなう労働者の困窮を目撃する。 1790年、マンチェスターの紡績工場の支
シャーロック・ホームズの金銭感覚や、ダーウィンの資産活用から、会計と革命の意外すぎる関係、複式簿記から解き明かす知性の進化など、歴史を縦横に行き交い、ミクロからマクロ経済まで自在にピントを合わせながら、人類の歴史を損得の視点から紐解く。 パッケージから、最初は「簿記の歴史」や「会計の世界史」という印象を持った。だが、本書の焦点深度はもっと広い。そして、めちゃめちゃ面白い。これは、お金と人との関わり合いをドラマティックに描くだけでなく、それを通じて「お金とは何か」ひいては「価値とは何か」についても答えようとしているからだ。 「お金」が人を作った? 誤解を恐れずに言うと、「お金」が人を作ったといえる。 逆じゃね? と思うだろう。壱万円札を作ったのは人だし、その紙に「壱万円分の価値がある」(ここ重要)と信じているのは人だから。なぜ壱万円に壱萬円分の価値があるかというと、壱萬円の価値があるとみんな
シャーロック・ホームズの金銭感覚や、ダーウィンの資産活用から、会計と革命の意外すぎる関係、複式簿記から解き明かす知性の進化など、歴史を縦横に行き交い、ミクロからマクロ経済まで自在にピントを合わせながら、人類の歴史を損得の視点から紐解く。 パッケージから、最初は「簿記の歴史」や「会計の世界史」という印象を持った。だが、本書の焦点深度はもっと広い。そして、めちゃめちゃ面白い。これは、お金と人との関わり合いをドラマティックに描くだけでなく、それを通じて「お金とは何か」ひいては「価値とは何か」についても答えようとしているからだ。 「お金」が人を作った? 誤解を恐れずに言うと、「お金」が人を作ったといえる。 逆じゃね? と思うだろう。壱万円札を作ったのは人だし、その紙に「壱万円分の価値がある」(ここ重要)と信じているのは人だから。なぜ壱万円に壱萬円分の価値があるかというと、壱萬円の価値があるとみんな
This video shows the Top 10 countries with highest GDP from 1960 to 2017. This country GDP ranking includes countries such as, United States, China, Japan, Germany, United Kingdom, etc. Gross Domestic Product (GDP) is a monetary measure of the market value of all the final goods and services produced in a period of time, often annually or quarterly. Nominal GDP estimates are commonly used to dete
by Strelka Institute for Media, Architecture and Design 「近年急速に発達を遂げているAIはやがて多くの仕事を自動化し、雇用を減少させるのではないか」という懸念を多くの労働者が持っています。ところが、労働の自動化は必ずしも雇用の減少をもたらすわけではなく、時には生産性を向上させるための技術が雇用の増加をもたらす場合もあるという主張もされています。 How AI automation could boost employment: The role of demand - Bits and Atoms https://bitsandatoms.co/how-ai-automation-could-boost-employment-the-role-of-demand/ 一般的には「労働の自動化は雇用を減少させる」という見方がされていますが
<バブル崩壊後の「失われた20年」を運命論的に受け入れていた日本にとってリーマン・ショックは強力なカンフル剤だった> 時間は時に速さが変わり、数週間が数年のように感じられることがある。08年9月がまさにそうだった。米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけとしたパニックは瞬く間に国際金融システム全体に広がり、世界経済はどん底に落ちた。 日本にはこの危機の責任は一切なかったが、世界最悪レベルの打撃を受けた。名目GDPは9%下落し、その影響から完全に立ち直るのは16年になってからだった。だが意外なことに、この08年9月の人災は11年3月の自然災害(東日本大震災)と共に、バブル崩壊後の停滞を運命論的に受け入れていた日本にショックを与え、回復への道を開くことになった。 現在、日本の景気拡大は6年目に突入した。労働市場は堅調で、この間の東京株式市場の総収益率は(アメリカには及ばないが)欧州や新興
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