先月上梓された「危機管理2022」に、『サイバー対策のソフトスキル強化を経営目線で』という小文を寄稿しました。その中で3つのデジタル脅威を取り上げましたが、その中の一つ「デジタルディビジョン」に関連する人の問題を、今回は少し深掘りして考えてみたいと思います。 新技術の出現により、一つの企業内でもデータやデジタル技術への従業員のアクセスできる能力がまちまちになり(デジタルディビジョン)、社内情報の円滑な流れひいては事業運営に潜むリスクが広がっています。その上さらに、国や業界によって新技術の利用環境やデジタルビジネスの成熟度が大きく異なる中、地政学的な情報リスクも増大(情報流通の不自由化・秘密管理の困難化)している状況が、リスク環境の断片化と特異化を育み、大きな脅威のうねりとなって迫って来るでしょう。 よく考えてみますと、そもそも人には心理的なバイアスが必ずあることに思い至ります。自分は平衡感