京都市左京区の養正市営住宅に、大きな甘夏の木が2本ある。四半世紀ほど前、当時小学生だった男性が給食の甘夏の種を植えたところ、実を付けるほど立派に成長した。この春も甘夏は鈴なりに実ったが、同住宅は来年度に建て替えが決まっており、木も伐採されるという。男性の家族や学校関係者がこのほど集まり、甘夏の思い出をかみしめながら最後の収穫を楽しんだ。 「わっ、大きい」「私も取りたい」。3月31日、子どもたちの声が響く中、西村勇(ゆう)さん(36)=中京区=らが、同住宅の庭先でたわわに実る甘夏を収穫した。約200個あり、さっそく甘酸っぱい果実をほおばった。 西村さんは養正小5年だった1995年、給食で出た甘夏の種5粒を持ち帰り、プランターに植えた。発芽の仕組みを学習中で、担任の住田敬子さん(71)=左京区=から「家でも植えてごらん」と言われたのがきっかけ。しばらくして芽が出て、成長した2本を庭に植え替えた