松江市の島根県庁のすぐそばに松江城がある。年間35万人の観光客でにぎわう国宝の天守から北西の方角を双眼鏡でのぞくと、中国電力島根原発の見学者施設の屋根が見える。天守から原発まで8・5㎞、県庁所在地の原発は全国でここだけだ。 松江の城下町は湿地や入り江を約400年前の松江城築城時に埋め立てて造られた。橋と水面が織りなす水郷の風情は災害時の弱点も示している。 松江市は、緊急輸送道路や想定緊急避難路になる23橋、高速道路をまたぐ3橋など計29の古い橋について、優先して耐震化を進める計画を昨年まとめた。しかし補強は一つも終わっておらず、完了のめども立っていない。市が管理する1220橋のうち築50年以上の古い物が52%を占める。 島根県庁は、全国の県庁で唯一、放射線防護施設になっている。災害対策本部が置かれる6階と、知事室などがある3階は部屋の空気圧を高めて外部から放射性物質が入らないようにする仕組