俳句を作り始めて少し経った頃、当時の師から「短歌もやってみないか」と誘われた。興味はあるが作り方が分からないので是非教えてください、と返すと、「俳句の後ろに七七を付けたら短歌になる」と言われた。音数としてはその通りなのだが、それほど単純なものではないことは、直感的にも理解出来る。第一、有季定型の俳句を書く僕にとって、俳句は季語を要するもの、短歌は必ずしも季語を要さないものという明確な違いがある。結局何も分からないまま、真似事のように短歌を作ってみた。すると、すぐにあることが分かった。僕は、「俳句を作ろう」という気持ちにならなければ俳句は作ることが出来ないし、「短歌を作ろう」という気持ちにならなければ短歌は作ることが出来ないのだ。創作活動自体、始めたばかりだったからかも知れないが、内容によって詩型を使い分ける器用さを、僕は持ち合わせていなかった。そういうわけで、細々と短歌を作っては、一首単位