◆完成したら「死んでもいい!」 ――前作『私小説from left to right』は横組み英語混じりの小説として話題になりましたが、あれから七年、ついに最新作『本格小説』が刊行されます。『私小説』完成時には「死んでもいい!」というカタルシスを感じられたそうですが。 それが今回も「死んでもいい!」と思ったの(笑)。これ以上はありえないような大きな達成感があります。今となっては、なんで前の作品でそう思えたのかが不思議。私は作家になったのが遅く、だらだらと無駄な人生を歩んできた、小説の執筆に役立たない捨て札ばかりの人生を歩んできた、とずっとそう思っていたんです。それが『本格小説』を書いているうちに、捨て札があれよあれよとすべて生き札となったの。大変な歓びがありました。 ――『私小説』の次が『本格小説』。今回も、アメリカで文学理論を学んでおられた水村さんらしいタイトルですね。 どうも、えらそう
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