夢と分かったのは、身体に自由が効かなかったからである。 周囲の細部を感じ取れず、手も足も、指先すらも動かない。 わたしは、夢の中の”わたし”と一体になっていた。 場所は、和室だ。 どこの、とか、なぜ、とかは疑問として形を成さず。 ただそこは、何のための場所であるかハッキリと分かる。 ――――将棋盤だ 脚付きの、たぶん高級だろうと思われるもの。 それが部屋の中心にある。 おそらくこの部屋は、将棋を指すためだけにある部屋なのだろう。 ぼんやりと滲む光景の中で、将棋盤だけがピントが合ったように、しっかりと存在している。 ”わたし”はその部屋に入って、淀みのない動作で盤の前に座った。 夢の中の”わたし”は、全く躊躇もなければ違和感もないらしく、それが当たり前のように動いている。 ふと”わたし”の視線が前を向いた。 将棋盤しかないこの夢の世界で、何かを探した。 そう、将棋は独りではできない。 それく