テレビがお茶の間の中心だったころから数多くの名作ドラマを手がけてきた脚本家の山田太一さん(83)にとって、昭和58年にTBS系で放送された「ふぞろいの林檎(りんご)たち」には複雑な思いが残っている。学歴社会にもまれる若者群像が評判を呼び、平成9年のパートIVまでシリーズ化されたものの、本当は2作目で終わりたかったと打ち明ける。それほど時代の変化は激しかった。(聞き手 藤井克郎) できない子なりの生き生きとした部分をドラマにしたいと思った「ふぞろいの林檎たち」を書くことになったのは、あの当時、大学生があまりテレビを見なくなったといわれていたことがきっかけです。だったら大学生の現実をドラマにしたらどうかということで、初めは東大とか京大とか、いわゆるエリート校の学生たちの話を書こうかと思って調べてみた。でもそれがそんなに面白くないんですね。 ところがちょっとランクの低い大学に通っている学生たちを