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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (8)

  • どうすれば相手の意見を変えられるのか──『エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?』 - 基本読書

    エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか? 作者:リー・マッキンタイア国書刊行会Amazonこの『エビデンスを嫌う人たち』は、『「科学的に正しい」とは何か』の邦訳が先日刊行された気鋭の哲学者リー・マッキンタイアによる「科学否定論者を説得するための方法」についての一冊である。科学否定論者とは、たとえば人為的な気候変動は起こっていないと主張する気候変動否定者に、反ワクチン、反コロナ、果てには地球は平面だと主張する地球平面説を支持している人らのことを指している。 こうした科学否定論者に共通点は存在するのか。また、彼らにエビデンスを提供することでその考えを変えることができるのか。エビデンスを提供するといっても、どのように提供するのが最も効果的なのか。エビデンスで人の意見が変えられないのだとしたら、他に変える方法はあるのかを、様々な研究をもとにして紹介する──だけでなく、

    どうすれば相手の意見を変えられるのか──『エビデンスを嫌う人たち: 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?』 - 基本読書
  • 脳内で地図を作成する能力が衰えていくと、何が起こり得るのか?──『失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割』 - 基本読書

    失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割 作者:マイケル・ボンド白揚社Amazon少なくとも移動という点において、現代は素晴らしい時代になったといえるだろう。僕は相当な方向音痴で、スマホのナビアプリがない時代は目的地にたどり着くのは難しいことだった。地図をみずに目的地にたどりつけないのではなく、場所を事前にネットで検索し、地図を印刷してそれをみながら歩いても、たどり着けないのだ。 その弱点が牙を向いてきたのは就活時代で、その当時iPHoneにはいちおう地図アプリがあって、僕も入れていたが、ゴミのような性能だった。パチンコガンダム駅とかいう意味不明な駅が爆誕していたり、羽田空港が大王製紙になっていたり。とにかくひどい有様で、今のような安心感は微塵もなかった。そんな就活をしていた時代に、1日に2、3個予定を詰め込んで会社説明会をはしごしていたのだが、そうすると駅を降りて15分ほどの短い

    脳内で地図を作成する能力が衰えていくと、何が起こり得るのか?──『失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割』 - 基本読書
  • 最先端物理理論の提唱者が語る、時間の実態──『時間は存在しない』 - 基本読書

    時間は存在しない 作者: カルロ・ロヴェッリ,冨永星出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2019/08/29メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る時間は存在しない、といきなり言われても、いやそうは言ったってこうやって呼吸をしている間にもカチッカチッカチッと時計の針は動いているんだから──とつい否定したくなるが、これを言っているのは、一般相対性理論と量子力学を統合する、量子重力理論の専門家である、職のちゃんとした(念押し)理論物理学者なのである。 名をカルロ・ロヴェッリ。彼が提唱者の一人である「ループ量子重力理論」の解説をした『すごい物理学講義』は日でもよく売れているようだが、書はそのループ量子重力理論から必然的に導き出せる帰結から、「時間は存在しない」ということをわかりやすく語る、時間についての一冊である。マハーバーラタやブッタ、シェイクスピア、『オイディプ

    最先端物理理論の提唱者が語る、時間の実態──『時間は存在しない』 - 基本読書
  • 人間集団の大きな流れの物語──『人口で語る世界史』 - 基本読書

    人口で語る世界史 (文春e-book) 作者: ポール・モーランド出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/08/29メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る人口については、日においては最重要検討事項のひとつだろう。日の年齢の中央値は現在46歳。世界で最も高い部類で、米国より9歳も高い。1950年に20人に1人だった65歳以上の人数は、2005年には5人に1人。出生率は世界的にみても最低レベルで、どんどん人口減少と高齢化が進む、世界でも有数の先駆者だからである。 で、書はそうした人口的な観点から世界史を捉え直していく一冊である。人口は戦力的にも経済的にも重要だから、その変動をおうことで文明の発展、個人の生活の変化について、多くの部分の理由を説明することができるし、これがおもしろい。たとえばバラク・オバマの当選については、アメリカが非白人社会に向かっていなければ実現し

    人間集団の大きな流れの物語──『人口で語る世界史』 - 基本読書
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    kbeee 2019/09/08
  • レジリエンスは万能薬ではない『逆境に生きる子たち──トラウマと回復の心理学』 - 基本読書

    逆境に生きる子たち――トラウマと回復の心理学 作者: メグジェイ,Meg Jay,北川知子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/08/21メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る「レジリエンス」という心理学で用いられる用語がある。これは親の離婚・死亡、虐待などの逆境やトラウマ体験といった大きなストレスにうまく適応し、回復していく力を意味しているが、形容詞になると「レジリエント」な人、あなたはレジリエントだね、みたいな感じになる。回復、適応する力という用語ではあるものの、人間というのは壊れたアップル製品が修理に出して戻ってくるようには治らないものだ。 一見、うまいこと逆境を乗り越え適応したようにみえても、その裏では多くの葛藤が渦巻いている。不死身の人間はいないのだ。『しかし、よく使われる表現のどれも、ヘレンの内面をあらわすには適さない。ヘレンのような人たちは急速

    レジリエンスは万能薬ではない『逆境に生きる子たち──トラウマと回復の心理学』 - 基本読書
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    kbeee 2018/08/26
  • 自分が何を知らないのかを知ることの重要性『知ってるつもり――無知の科学』 - 基本読書

    知ってるつもり 無知の科学 (早川書房) 作者:スティーブン スローマン,フィリップ ファーンバック早川書房Amazon「何かを知っている」と言い切るのは、言葉の定義にもよるだろうが、なかなか難しい話だ。たとえば僕は電子レンジがマイクロ波を照射して水分子を振動させることで温度を上げる機械であることを知っているが、そのより詳しいメカニズムはよく知らないし、ましてや自分で部品から電子レンジをつくりあげることなんかできない。 自分を基準にしてしまって申し訳ないが大抵の人が電子レンジについて知っているのはこの程度のものだろう。人間はけっこう賢いし物知りだが、かといって一人で電子レンジを作り上げられるほど、たった1つのモノのすべての側面に精通するほど知ってはいない。書はそうした”人間の無知”についてのである。われわれはいったいどれほど無知なのか。われわれ無知で愚かな人間はどのように物を考え、どう

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    kbeee 2018/04/16
  • 連続殺人鬼の娘は、サイコパスなのか?──『善いミリー、悪いアニー』 - 基本読書

    善いミリー、悪いアニー (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: アリランド,国弘喜美代出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/01/24メディア: 文庫この商品を含むブログを見る九人の児童を殺害した連続殺人鬼、ルース・トンプソンはその娘の告発によって逮捕された。告発した娘であるアニーは、ミリーという新しい名前を与えられ、優しい夫婦と一人のいじわるな娘で構成されたニューモント家へと引き取られるのだが──、一家は知らなかった、それがもう一つの波乱の幕開けになるのだということを。 そんな感じの導入ではじまる書は、少女の内面を奥底までえぐり出す心理サスペンス、心理スリラーである。悪夢のような母親の元から逃れ、優しい一家に迎えられ、歳の近いフィービとも『若草物語』のように仲睦まじい姉妹としての関係性をつむげるのではないかと期待してやまないほんわかした導入から一転、ミリーはクラスの中心的な存在で

    連続殺人鬼の娘は、サイコパスなのか?──『善いミリー、悪いアニー』 - 基本読書
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    kbeee 2018/02/03
  • なぜ薬物依存は減らないのか──『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造』 - 基本読書

    ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造 作者: カールハート,Carl Hart,寺町朋子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/01/24メディア: 単行この商品を含むブログを見る薬物には大変恐ろしいイメージがある。 一度でも手を出せば最後、依存から逃れることは叶わず万難を排して薬を手に入れることに邁進し、捕まってもやめることはできない──。 確かにコカインやマリファナといった薬物には"依存"はある。だが、世間一般に流布しているイメージは科学的に正確とは言い難いものだ。違法薬物による依存とはどのような種類の依存なのか? 依存に陥らない状況もあるのか? という点について、ただ闇雲に恐れるのではなく科学的に検証する必要がある。 書は、アメリカの貧しい黒人居住地区で生まれ、幼少─青年時代を"薬物"と身近な日々を過ごした神経科学者による、"正しく怖がる"ための薬物

    なぜ薬物依存は減らないのか──『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造』 - 基本読書
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    kbeee 2017/02/11
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