わが国の1世帯当たりの平均所得額は2008年で547万5千円だった。世界全体については統計値がないので、比較しようがないが、例えば乱暴な推計だが、中国はこの10分の1程度に過ぎないのではないか。 各国の所得格差は長い間、地理、言語、経済、政治・外交、文化といった様々な障壁によって守られ、続いていた。各国の人々は、それぞれ交わることが少ないが故に、格差を別世界のこととしてとらえてきた。 特に地理上の隔たりや言語、政治・経済といった障壁は高く、堅固なものだった。それが、20年余り前にベルリンの壁が倒壊し、東西間での政治・経済の障壁がなくなってから急速にフラット化してきた。特に、最近のインターネットを始めとする情報通信技術の発達は、地理上の壁をもバーチャル的に崩壊させたといえるだろう。 さらに、人口大国の中国やインドのようなBRICsと呼ばれる新興国の所得水準はこの十数年で大幅に向上し、日