2008年の県内は親が子を、また子が親に手をかける衝撃的で悲惨な事件が目立った。09年も不安はぬぐえない。本紙「時事随想」執筆陣で、社会政策に詳しい中橋勇一プランニングネットワーク東北理事長に分析と展望を聞いた。 ―家族内の悲惨な事件が増えている背景は? 家族が殺し合う凄惨(せいさん)な事件は昔からあった。家族事件が都市型に変わり、発生した際の印象がより強く、ある意味「訳が分からない」事件になってきた。本県の「家族」も、集落や近隣に開かれたオープンな単位でなく、「閉鎖空間」になったからだ。コミュニティーの崩壊や「自己責任論」の定着がそれに輪をかけた。その「閉鎖空間」の中でトラブルを処理せざるを得ない。 ―トラブルには貧困が見え隠れしている。 低所得や解雇、育児や介護負担、進学・就職の失敗、多重債務などで将来設計ができない「取り残され型」「切り捨てられ型」の個人や家族が典型的ケースだ