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bookとevolutionに関するkeloinwellのブックマーク (43)

  • [書評] 絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか: 極東ブログ

    人類史関連のを探していたら、アマゾンが『絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか』を推してきた。まあ、一般向けのなら軽くて読みやすいだろうと、さほど期待せずに読んだら、これがまさに自分が読みたいだった。自分も知らなかった新しい知見が読みやすく書かれているので、いつの作品か見ると、2018年1月だった。内容的には2009年原書の、『そして最後にヒトが残った―ネアンデルタール人と私たちの50万年史』とかぶる感じもあったが。 表題からすると、「絶滅」が注目されるが、普通に、最先端の人類学を簡素にまとめたになっていた。自分の人類学の知識をリニューするいいきっかけにもなった。 一番、これはまいったなあと思ったのは、コンラート・ローレンツの攻撃についての考えがあっさりと否定されているところだった。ローレンツは私が中学生のときに大きな影響を受けた学者で人生観の基礎になっているのだが、うあ、否

  • [書評] 生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む: 極東ブログ

    『生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』(参照)は読んでみてから気がついたが、宣伝に力を入れているようだ。というか、各種の興味から読める、間口の広いだとも言えるだろう。特に生物学の基礎知識がなくても読めるようには思う。が、書の中心課題は、収斂進化論であり、サイモン・コンウェイ=モリス『進化の運命-孤独な宇宙の必然としての人間』(参照)が既読でないと、その文脈を理解するのが難しいかもしれない。振り返るとサイモン・コンウェイ=モリスの同書は翻訳が出たときに読んだが、当時の日のネットの世界では収斂進化論はタブーとまではいえないが、どこかしら罵倒の対象のようにも思えた。彼が有神論的なせいものあるのだろうか。そんなこんなで、私も同書の書評もなんとなく書かずじまいだったなとも思い出す。 とはいえ、そのあたりの概要も、書では簡素に解説されているし、よく話題にのぼるスティ

  • 恐竜の始まりからその終わり、さらに「現代の恐竜」まで、一冊でみっしりまとまった快作──『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 - 基本読書

    恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで 作者: スティーブ・ブルサッテ,土屋健,黒川耕大出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/08/09メディア: 単行この商品を含むブログを見るこの『恐竜の世界史』はいい! 実は恐竜は羽毛が生えてたんじゃね、実はティラノサウルスって走るのそんなに早くなかった説、実は鳥、恐竜であるとか、いわゆる恐竜学もこのうん十年で化石発掘、コンピュータでの解析が進みこれまでの定説と異なる意外な真実が明らかになってきた。書は、恐竜、その誕生から終わりを、現代最新の研究成果でアップデートし一冊でコンパクトに描き出す、非常な快作である。 それこそが、私がこので語りたい物語だ。恐竜はどこから来て、どうやって支配者に成り上がったのか。どのようにして巨大化し、あるいは羽毛と翼を発達させて鳥に進化したのか。そして、なぜ鳥以外の恐竜が滅び、その結果として現代の

    恐竜の始まりからその終わり、さらに「現代の恐竜」まで、一冊でみっしりまとまった快作──『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』 - 基本読書
  • 進化はどこまで予測可能なのか?──『生命の歴史は繰り返すのか?: 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』 - 基本読書

    生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む 作者: Jonathan B. Losos,的場知之出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2019/06/01メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る生命の進化の歴史は偶然に支配されている。たとえば、とある巨大な隕石が地球に落ちて”こなかった”、そして、恐竜がそのままの形で生存していたとしたら、今とは全く違った光景がこの地球上に広がっていたと多くの人は考えるだろう。スティーヴン・グールドは著書『ワンダフル・ライフ』の中で、仮に進化の過程を再現したならば、今とは異なる生物界が現れるだろう、といい、多くの人に受け入れられた。 だが、一方この宇宙、それに地球は一定の物理法則に支配されているから、泳ぎやすい形、動きやすい形というものが決まっている。空を飛ぶ動物はいくつかの形の翼と飛び方に収斂していくし、高速で泳ごう

    進化はどこまで予測可能なのか?──『生命の歴史は繰り返すのか?: 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』 - 基本読書
  • 人はどうやって人になったか──『生命進化の偉大なる奇跡』 - 基本読書

    生命進化の偉大なる奇跡 作者: アリスロバーツ,Alice Roberts,斉藤隆央出版社/メーカー: 学研プラス発売日: 2017/10/31メディア: 単行この商品を含むブログを見る書『生命進化の偉大なる奇跡』はイギリスの解剖学者・人類学者であるアリス・ロバーツによる、人類進化の中でも特に解剖学・発生学を中心としたサイエンス・ノンフィクションだ。彼女はBBCで人類進化をテーマとしたいテレビシリーズにも出演していたり、幅広く一般に向けてわかりやすい科学情報の発信を行なっているが、書もその成果のうちの一冊である。 中心となるのは、受精卵という一個の細胞がひとりのヒトへと成長を遂げる"奇跡"としか言いようがない事象の背後にある具体的なプロセスと、どのような歴史の上に我々の手が、足が、肺が、脳が、腰が、形作られてきたのか、それは元を辿ればどんな生物からの遺伝なのか──という生命進化の軌跡

    人はどうやって人になったか──『生命進化の偉大なる奇跡』 - 基本読書
  • 人は歌で進化した『人間はなぜ歌うのか?』

    「ロックンロールは骨で聴く」というセリフが好きだ。人類の大半が肉体を捨て、電脳世界で暮らすSF映画『楽園追放』のセリフだ。そこでは、音楽を始め、あらゆる快楽を享受することができる。そんな時代に、生身の体を持ったある男が、ロックは骨で聴くものだとつぶやく。 これ、すごく分かる。 彼のようギターを抱えて弾いても分かるし、ライブやコンサートの大音量に包まれても分かる。音楽は、確かに耳からの音を通じて聴くものだが、それだけではない。顔や腕の皮膚や、足下・体の芯から振動を感じ取るものだ。 なぜなら、体の外から入ってきた音楽が自身と一体化し、自分の中に音楽があることに気づくから。わたしの声が、鼓動が、手拍子が、足踏みが音楽と呼応するものだから。ロックンロールに限らず、音楽は身体で感じ、共に歌い、叩き、踊るもの。静聴を求められるクラシックのコンサートでも、最後は万雷の拍手で応えるでしょ。それも同じことだ

    人は歌で進化した『人間はなぜ歌うのか?』
  • [書評] すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く(鈴木紀之): 極東ブログ

    「すごい進化」(参照)というように口語で書名を表現されると、何かとてつもない進化を遂げた生物の事例を扱う書籍のように思える。が、書の内容は副題にある「『一見すると不合理』の謎を解く」に近い。ダーウィニズムの自然淘汰の考えからすると、「一見すると不合理」な進化を遂げた生物についてどのような説明を与えることができるか、ということを扱っている。 そして結論から言えば、「謎を解く」には至っていない。1つの解法視点の提起ではあるが、むしろそこが書の面白さである。 問題の基的な枠組みは、自然淘汰の原理をどのように扱うかである。 現在進化生物学者の中で自然淘汰の原理を完全に否定している人はまずいません。しかし、進化を自然淘汰でどこまで説明できるか、すなわち「進化はすごい」とどれだけ信じているかという点については、研究者の間でさえ驚くほどの違いがあります。「進化はそれほどすごくない」というスタンスで

    [書評] すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く(鈴木紀之): 極東ブログ
  • 形が進化するとはどういうことか『形態学』

    「動物の形が進化するとはどういうことか」という問題に取り組んだ生物学の歴史を振り返りながら、形態学を体系的に説明してゆく。面白いのは、形態学の歴史に、体の構造と形に対する観念の変遷が垣間見えるところ。 1. どのようにそんな形になってきたのか(仕組みの問題) 2. なぜそのような形になっているのか(意味の問題) 「どうしてそうなっているのか」という問いかけには、二つの問題が潜んでいる。1.の仕組みやメカニズムを問う、"how"と、2.の理由や意味を問う"why"である。科学者は、観察や実験を経て1.を分析するとともに、一貫性のあるストーリーで2.を説明づけようとする。 "how"の答えと"why"の答えの間に恣意性や当時の観念が入り込み、話をややこしくする。分けて考えることで議論はシンプルになるにもかかわらず、"why" に答えたい欲望が科学を推進させる。科学の見方にキリスト教的な観念が入

    形が進化するとはどういうことか『形態学』
    keloinwell
    keloinwell 2017/05/02
    ヘッケルの反復説は捏造に限りなく近いものだと思っていたが。(端的にいうとヘッケルは記憶にしたがって図を描き、類似点を主張するために多くの相違点を無視している。)http://science.sciencemag.org/content/277/5331/1435.1.full
  • ニック・レーン『生命、エネルギー、進化』は難しかった

    書は、「生きているとはどういうことか?」をエネルギーの観点から解き明かした、大変興味深い生命科学のなのだが、わたしにはかなり難しかった(3回読んだ)。高校~大学レベルの生物学の知識に加え、化学平衡や高分子化合物について理解していることを前提とする。 著者は、自らの思考実験について丁寧に説明してくれるものの、そのプロセスに一切の手抜きはない。よくある途中を飛ばして、「要するに」とまとめたりしない。その説明がまだるっこしく、想像ではなく知識を要するため、書の難度を上げている。前著『生命の跳躍』より数段ハードな読書となった。ビル・ゲイツをはじめ、書を絶賛している人を尊敬する。 書のキモは次の通り。 生命は電動である電動の単位はATP(アデノシン三リン酸)で示されるATPはエネルギーの貯蔵・供給・運搬を仲介する分子であるATPは膜を挟んだ電位差で生じる(プロトン駆動力と呼ぶ)膜を貫きAT

    ニック・レーン『生命、エネルギー、進化』は難しかった
  • 『生命、エネルギー、進化』 - HONZ

    ニックはジャレド・ダイアモンドのような書き手たちを思い起こさせる。世界について多くを説明する壮大な理論を考え出す人々だ。彼はそんな独創的な思索家のひとりで、あなたにこう言わせる。 ”この男の仕事についてもっと多くの人が知るべきだ” これは、書を読んで圧倒されたビル・ゲイツが、自身のブログに記した言葉だ。そして、「このを読むのなら、早く読むべきだ。今から5年もすれば、ニックなど、この分野の研究者がずっと先へ話を進めているだろう」とまで語る。ゲイツ氏は難病や貧困をなくす挑戦的研究を支援する基金を創設しているが、これをきっかけに氏の財団から研究助成もなされそうな勢いすらある。 何がゲイツ氏をここまで心酔させたのか? それは、生命の起源という究極の疑問に対し、ここまで具体的かつ詳細に、説得力のあるシナリオを提示したがこれまでにほ

    『生命、エネルギー、進化』 - HONZ
  • 虫だらけの惑星──『昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略』 - 基本読書

    昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略 作者: スコット・リチャードショー,Scott Richard Shaw,藤原多伽夫出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/07/13メディア: 単行この商品を含むブログを見る昆虫は最強の生物である──と断言されると、いったい最強とはなんなのだ。人類じゃなくて? と疑問が湧いてくるが、まあ「最強」の定義次第といったところだろう。たとえば、人類はこの地球上に種そのものを脅かす天敵はいないわけで、その観点からいえば「人類は地球最強の生物」といってもいいだろう。 しかし別の観点からすると、おそらく人類最強の個体である範馬勇次郎だって病気や癌によって死ぬわけでそうした抗いようのない病気/生命原理が最強なのか? ということにもなる。「個体」が最強なのか「種」が最強なのかにも違いがあるだろう。とここで昆虫の登場である。これ

    虫だらけの惑星──『昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略』 - 基本読書
  • 【書評】我々は特別な存在か。宇宙的バランス感覚を養う一冊『生命の星の条件を探る』 - クマムシ博士のむしブロ

    生命の星の条件を探る:阿部 豊 著 生命の星、地球。都会のようなコンクリートジャングルにおいても雑草が茂り、アリたちが闊歩する。足下をふと見れば道路の片隅にコケが生育していて、そのコケの中にはクマムシがいる。朝晩の電車に乗り込めば、無数のホモ・サピエンスと接触する。生物はそこに居て当然。そんな風に私たちは感じてしまう。だが、地球以外の天体に由来する生命体は、現在までまだ見つかっていない。はたして、生命を育んでいる惑星は、この広い宇宙で地球だけなのだろうか。 生命体が棲息する環境がどのようなものかを考えるとき、もっとも参考になるのは、私たちを育んでいるこの地球の環境である。ある惑星が地球と同じような環境であれば、そこには生命体が居てもおかしくない。もちろん、地球型の生命体とはまったく異なるタイプの生命体も、宇宙のどこかにいるかもしれない。だが、そのような生命体はあくまで空想上の産物にすぎず、

  • 人類社会と昆虫の多様な関係──『昆虫の哲学』 - 基本読書

    昆虫の哲学 作者: ジャン=マルク・ドルーアン,辻由美出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2016/05/21メディア: 単行この商品を含むブログ (6件) を見る昆虫の哲学と言われてもいったいなんの事なのかよくわからないが、著者によれば次のように説明される。『「昆虫の哲学」とは、さまざまな昆虫の哲学ではない。それは、私たちが当たり前のように口にする、「法の哲学」、「芸術の哲学」、「科学の哲学」、「自然の哲学」などと同じ意味での「昆虫の哲学」なのだ。』 そう言われてもよくわからんなあと思いながら読み進めていったのだが、分類学、社会学などなど、人類史における昆虫の扱われ方について幅広く問いなおしていく内容で、哲学といえば哲学だし、広義の昆虫エッセイともいえるだろう。たとえば昆虫やダニやクモ類の命が、哺乳類に比べると軽くみなされるのはなぜか? という問いかけも、あらためて問いかけなおして

    人類社会と昆虫の多様な関係──『昆虫の哲学』 - 基本読書
  • 人類進化に関するまったく新しい疑問とアプローチ──『人類進化の謎を解き明かす』 - 基本読書

    人類進化の謎を解き明かす 作者: ロビン・ダンバー,鍛原多惠子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/06/20メディア: 単行この商品を含むブログを見る考古学者は石器と化石の組み合わせや、発掘地の地質学によって「歴史」を浮き彫りにさせてきた。書『人類進化の謎を解き明かす』の特徴は、そうした石と骨「だけ」に頼るやり方を捨てているところにある。もちろんまったく援用しないわけではなく、「考古学的記録を新たな目線で見つめること」に重点を置いているのだ。 著者のロビン・ダンバーは人間にとって平均約150人が安定して関係を持てる数であるというダンバー数の定式化を行った人物だが、その来歴を活かすように、書では人類進化の社会的側面と認知基盤に光を当て人類の進化史を洗いなおしている。僕も専門家ではないからこのアプローチがどれだけ有効なのか疑問に思うが、いくつかの専門的な書評を読む限りで

    人類進化に関するまったく新しい疑問とアプローチ──『人類進化の謎を解き明かす』 - 基本読書
  • 「新しい」視点での生命史──『生物はなぜ誕生したのか: 生命の起源と進化の最新科学』 - 基本読書

    生物はなぜ誕生したのか: 生命の起源と進化の最新科学 作者: ピーターウォード,ジョゼフカーシュヴィンク,Peter Ward,Joseph Kirschvink,梶山あゆみ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/01/14メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見るこれはおもしろい! 邦題だと「生物誕生の謎を解き明かす」一冊に思えるかもしれないが、原題は『A NEW HISTORY OF LIFE』で新しい観点からの生命史を語り起こすことをメインコンセプトと作品だ。生命史はこれまで良書が幾つも書かれてきたし、いまさら「新しい」も何もあるんだろうか? と思うかもしれないが、実験手法も変化したし、計器が進歩して新たな事実が明らかになった部分もある。 たとえば、地球の原初の状況など幅広く分析する地球物理学のような研究分野は20世紀後半に大きく発展したものだ。そうした純粋

    「新しい」視点での生命史──『生物はなぜ誕生したのか: 生命の起源と進化の最新科学』 - 基本読書
    keloinwell
    keloinwell 2016/03/15
    ニック・レーンの「生命の跳躍」とどういう違いがあるのだろう。気になる。
  • 死にたくない時に読む本──『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』 - 基本読書

    なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる 作者: ジョナサン・シルバータウン,寺町朋子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/01/27メディア: 単行この商品を含むブログを見る僕はわりと死にたくないが、なぜ死にたくないのかといえばそれはやっぱりよくわからないものだからではないだろうか。『すべてがFになる』の中で、『死を恐れている人はいません。死にいたる生を恐れているのよ。苦しまないで死ねるのなら、誰も死を恐れないでしょう?』というセリフがある。苦しまなくても「消滅」の恐怖は残るのではないかと思うが、やはり死ぬときにあるであろう苦しみは怖いし、できれば味わいたくはない。それはいったいどれぐらい苦しいものなんだろうか。 書は、生物がなぜ死を生み出したのか、なぜ老化するのか、どのようにして死んでいくのかをさまざまなアプローチから描きだす一冊だ。なぜ死ぬのかを詳しく知ったと

    死にたくない時に読む本──『なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる』 - 基本読書
  • 『病気はなぜ、あるのか』→適応戦略と進化のミスマッチ

    風邪をこじらせたとき、とにかく体温を下げるのはダメで、頭を冷やして安静にしておく。これは知ってた。だが、処方された抗生物質は、症状が治まったとしても「すべて飲み切る」。これがいかに重要かは知らなかった。 なぜなら、半端な服用は、抗生物質に耐性がある細菌の生き残りに手を貸していることになるから。このとき身体は、細菌のサバイバル戦略の最前線になっているのだ。発熱への対処も同様で、細菌にとって不適切な環境を生み出しているのに、解熱剤で下げてしまっては元も子もない。これらは進化医学からの知見で、身体の防御機能と細菌の適応戦略になる。 「病気は、どのように(How)して起きるのか」については臨床医学の世界になる。もちろん病気の原因もそこで追究はされるものの、その病気を引き起こしている至近要因までになる。そもそも、「その病気がなぜ(Why)あるのか」という究極要因まで踏み込むのが、進化医学になる。発熱

    『病気はなぜ、あるのか』→適応戦略と進化のミスマッチ
  • 『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』 - HONZ

    べすぎと運動不足は身体によくない、とは、つとに知られるところであり、いまさら誰かに言われなくてもわかってるよ、とみなさんも思っているかもしれないが、その一方で、そんな身体に悪いことをついしてしまい、しかもやめられないのはどうしてなのだろう、とつねづね悩んでいる人もきっと少なくないに違いない。 身体によくないことを自然にしてしまう、というのは考えてみれば不思議な話だが、そもそも人間の身体とはどういうものなのかをもっとよく考えてみると、これがまったく不思議でない、いたって当然の話となる。そのような人体に対する深い見方を提供してくれるのが、進化医学という比較的最近になって出てきた学問分野だ。 従来の医学では、病気は悪いもの、健康はよいものとされ、病気を治して人を健康にするために、おもに病気の直接的な要因と、症状への対処法が探られる。それに対して進化医学は、

    『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』 - HONZ
  • 絵本「せいめいのれきし」に改訂版が出ました - 紺色のひと

    「ちいさいおうち」で知られる作家、バージニア・リー・バートン。彼女の作品の中で、いえ僕がこれまで読んだ絵の中で、もっとも好きなのが「せいめいのれきし」です。幼い頃から何度も繰り返し読んで、娘にも何度も読み聞かせたこの。この度、やや古くなった内容の改訂版が出版されたと聞き、早速読んでみました。 ◆「せいめいのれきし」ってどんな? バージニア・リー・バートンによる、”地球上にせいめいがうまれたときから いままでのおはなし”です。原題はそのままずばり「LIFE STORY」。地球の誕生から、生命がうまれ、進化を遂げて、さまざまな生物が栄枯盛衰を繰り返したあと、やがて人間の時代になっていく……という壮大な歴史を、全5幕の劇を語るように描かれた物語です。なお、バートン女史の代表作はなんといっても「ちいさいおうち」。この「せいめいのれきし」は、「ちいさいおうち」が描かれた20年後、8年間をか

    絵本「せいめいのれきし」に改訂版が出ました - 紺色のひと
  • 7月13日:第6の絶滅(6月19日号Science Advance掲載論文) | AASJホームページ

    昨年のピュリッツァー賞ノンフィクション部門は、ニューヨーカー元ライターのコルベルトさんが書いた「The Sixth Extinct(第6の絶滅)」だ。私もKindle版を買ってはいるが、まだ通して読んではいない。このThe Sixth Extinctと言うタイトルは2008年カリフォルニア大学バークレー校のWakeたちがアメリカアカデミー紀要に両生類が地球から急速に失われる事を警告した論文を発表した時に使った定義で、おそらくコルベルトさんもこの定義を踏襲している。すなわち、大陸移動、火山、隕石衝突などで、1)オルドビスとシリル紀の移行期、2)デボン紀、3)ペルム紀、4)三畳紀後期、5)白亜紀に起こった生物の大規模な絶滅を5回の大絶滅としている。そして第6番目は人間が原因で今地球上で起こっている生物の絶滅を意味している。この生物多様性の問題に生物学者は警鐘を鳴らすことができても、何もできない