最強ではないのか。必ず何かがわかっている状態が持続されるのだ。何しろ何かがわかっているのだ。 ハルデン刑務所に閉じ込められて、一年間目隠しの上水滴を落とされたとしても、何かをわかっているのだ。 何かをわかっている以上尋問は完了しないし、何かをわかっている以上何かがわからないため引き出すこともできない。 お前、へそにほくろがあるだろうと尋問されたら、確かにほくろはある、と自信を持って答えられる。 ほら見ろと相手は言うだろう。しかしそこにほくろはない。ほくろは忽然と姿を消している。 そこで何かをわかっている人は言うのだ。ほくろは確かに存在している。 何かがわかっている人は、この世に無数のほくろが銀河のように散りばめられていることを知っている。 何しろ、何かをわかっているのだから。そして次いで言うだろう。 私の腹にほくろはないかも知れない。しかしあなたやその他周辺の人々、街を歩く赤ん坊、主婦、勤
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