「仕事が時間内に終わらない」などの理由で職場からの評価が低く、自身の「能力不足」に悩んだ経験はありませんか。 しかし、組織開発の専門家・勅使川原真衣(てしがわら・まい)さんは、能力とは個人に帰属するものではなく「環境や時代次第でいくらでも移ろうもの」と考えています。「仕事がうまくいかないときは、まず個人の能力を疑うよりも前に、業務や人員配置などの環境を調整することを考えた方が良い」と語る理由とは。 「能力」とは環境によって移ろいゆく幻のようなもの 勅使川原さんは行き過ぎた「能力主義」に疑問を抱き、大学院で教育社会学を研究されたそうですね。ご著書の『「能力」の生きづらさをほぐす』では、定義が曖昧な「能力」を求められ続けられてしまうことのいびつさを指摘されていました。 勅使川原真衣さん(以下、勅使川原) 私自身、「能力」の曖昧さには子どもの頃から苦しめられてきたんです。小学生時代、ある担任の先