【モスクワ=貞広貴志】メドベージェフ大統領は9日、セルジュコフ国防相らとの会合で「クリル諸島(千島列島)はロシアの完全な主権が及ぶ領土であり、駐留部隊強化のためあらゆる努力を払う」と述べた。 北方領土での経済協力対象国については「そうした協力を自国への侮辱だなどと考えない国」と述べ、日本を除外するかのような姿勢も示した。 大統領は北方領土問題に関する4日の会合では「平和条約を含め、あらゆる問題を話し合う」と述べ、対日関係回復に向けたシグナルを送っていた。5日後の態度硬化は「暴挙」発言への怒りを物語る。タス通信によると、露国防省筋は9日、「ミストラル」級強襲揚陸艦を極東地域に配備し、北方領土周辺海域の防衛にあたらせる考えを示した。 メドベージェフ政権は、日本側の「言葉」に敏感に反応してきた。大統領が就任当初唱えていた「独創的アプローチ」は、2009年に麻生政権がロシアの「不法占拠」を指摘した