「博物館疲労」については、1920年代にはすでに研究が行われていた。つまり、この言葉は何も新しいものではない。発表されたその研究結果によると、来場者が本来持っている関心の程度を超えるペースで集中的に博物館(美術館を含む)を回り歩くと、展示作品などへの関心が低下するという。 何1つ見逃したくないと思う一方で、博物館が単調で退屈なものに感じられたり、旅の計画の中で「こなさなければならない」負担のように思えたりするのだという。 そうした「博物館疲労」を克服し、旅を楽しむためにはどのような対策を講じればいだろうか? いくつかの方法を紹介する。 特有の疲労感の原因は? 例えば、パリのルーブル美術館で丸1日過ごしたり、シカゴに滞在中、午後から科学産業博物館とフィールド自然史博物館の両方を見て回ったり、ニューヨークに1週間滞在する間、(複数の博物館が立ち並ぶ)「ミュージアム・マイル」を毎日行ったり来たり
年末年始にかけて、街ではなにかと耳に残る音楽が流れ、頭の中で勝手にリピート再生されて「聞き飽きた」という人も多いだろう。そんな厄介な現象を打ち消す驚くべき方法が存在した! 音楽心理学者の研究が結実 特定の音楽が脳内で勝手に繰り返し流れ、頭から離れなくなる現象「イヤーワーム」。1年の中でもクリスマスから年末年始にかけては特に印象的な音楽が街にあふれ返る時期だが、強制的に脳内再生される楽曲に飽き飽きしている読者に朗報だ。なんと、イヤーワームを消し去る方法が開発され、大きな注目を集めているのだ。 2011年に音楽心理学の専門誌に掲載された研究によれば、約9割の人が少なくとも週1回はイヤーワームを経験しているという。時に厄介なこの現象を消す方法は至ってシンプルで、イヤーワーム対策として制作された約40秒の曲を聴くだけだという。「The Earworm Eraser」と呼ばれる楽曲で、ソフトウェア開
諸隈元シュタイン @moroQma 勉強や仕事する場所を2ヵ所以上設けると、脳が活性化されて能率が上がる話、面白い 家と図書館とスタバ、自室と居間とトイレ、屋内と屋外と屋上みたいな話かと思ったら、研究室に机を3つ並べて各々にPCを置き、作業が停滞するたびに隣に移動、移動、移動を繰り返す力技を実践中の脳科学者の話、面白い pic.x.com/txopXNAfR1 2024-12-20 22:52:38 諸隈元シュタイン @moroQma 脳科学者=池谷裕二先生です 休刊した週刊朝日の連載が週刊新潮に移動 特に能率が上がった印象は受けませんが、変わらず面白い豆知識を毎週ご披露くださっています ところが今回の情報は、新潮ではなく文春の人気コーナー「家の履歴書」より 媒体移動、移動、移動で活性化? x.com/moroQma/status… 2024-12-21 07:10:15 諸隈元シュタイン
ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。 繰り返しは幼児の脳内にパターン形成を促す繰り返しは幼児の脳内にパターン形成を促す / Credit:Canva . 川勝康弘読み終わったばかりの絵本や見終わったばかりの映画。 そこそこの年齢に達した子供や大人ならば、次のアクションとして別の絵本や作品を見ようとします。 しかし幼い子供たちはしばしば、同じ絵本や同じ映画を、もう一度最初から見ようとします。 子供たちは「お気に入り」を作るのが得意です。 しかし大人たちの中には 「なぜさっき読み終えたはずの絵本をもう一度最初からみているのか?」 「なぜ同じ映画を毎日の
正義のヒーローはしばしば、犯罪の場にあって自分が無関係の第三者であるにもかかわらず、現場に飛び込んで、加害者を倒します。 このような直接関連していない違反行為に第3者が罰する行為は「第三者罰(TPP)」と呼ばれており、古今を問わず人間社会に普遍的に存在する概念となっています。 また近年の研究では、言葉をはなせない乳児であっても、第三者罰のような判断を示すことが報告されており、第三者罰は生得的で進化的に保存された(幅広い種にみられる)ことが示唆されます。 一方で、第三者罰は人間に最も近いはずのチンパンジーではみられないことが知られています。 チンパンジーも罰を下すことはありますが、もっぱら被害側が同種の加害側を罰する「第二者罰」が主流となっています。 そのため現在のところ、第三者罰は「幅広い種にみられるという説」と「人間特有の行動である」とする説は並立して存在していると言えるでしょう。 そこ
痛み、人間のすべてにつながる――新しい疼痛の科学を知る12章 みすず書房Amazonこの『痛み、人間のすべてにつながる』は、文字通り人間が抱える「痛み」について書かれた一冊だ。著者はオックスフォード大学医学部のリサーチ・フェロー、皮膚科医で、既訳に『皮膚、人間のすべてを語る』がある(こっちもおもしろい)。 で、著者が皮膚の次に選んだテーマが「痛み」だ。人間であれば誰であっても多少の痛みを経験しながら生きていくもので、これが人生最大の悩みである人も多いだろう。胸や腰が痛むのに、病院に行っても「全部正常ですね」としか言われず、原因のわからない継続的な痛みに苛まれる人もいる。アメリカでは鎮痛薬として用いられるオピオイドの需要は高まるばかりで中毒死者数が急増し社会問題化しているが、痛みがこれほどまでに問題なのに、あまりその本質的な原因は広く知られていない。 本質的な原因ってどういうこと? 骨折をし
なぜ人はアートを楽しむように進化したのか 作者:アンジャン・チャタジー草思社Amazon 本書はアートを進化的に考察した本になる*1.著者のアンジャン・チャタジーは神経科学者で,神経美学(neuroaethetics)の研究者でもある.私はあまりよく知らなかったが,神経美学とは認知神経科学の一分野で,脳の働きと美学的経験の関係(美しいものを見た時に脳のどの領域が活性化するか,どのような神経伝達物質が介在するかなど)を研究するものらしい.本書ではこの至近因的な神経科学の内容だけでなく,究極因的な(進化心理学的な)内容を扱い,対象も美しいものだけでなくコンテンポラリーアート,コンセプチュアルアートなども含むアートと広げている.原題は「The Aethetic Brain: How We Evolved to Desire Beauty and Enjoy Art」. 冒頭のはしがきで,自然科学
幻覚剤と精神医学の最前線 作者:デヴィッド・ナット草思社Amazon近年、LSDをはじめとした幻覚剤の有用な側面を捉え直す研究が活発だが、本作もそうした流れに連なる一冊である。著者は精神科医・神経精神薬理学の教授で、幻覚剤を使用した際の脳内の影響について数多くの論文を発表している人物だ。 「幻覚剤の有用な側面」とひとことでいっても、これは非常に限定的な話で注意が必要だ。たとえば、抗うつ剤を十分量で十分期間(1〜2ヶ月)使っても本来の調子とならない治療抵抗性のうつ病のように限られた精神疾患にたいして、十分に量がコントロールされた幻覚剤を、セラピストの診察と共に服用することで、治療に効果が現れるエビデンスが上がってきている──という、何重もの前提があっての話である。 得体もしれない連中がそのへんで売っている、何が混在しているのかわからない幻覚剤を、うつ病に効くから──といって好きなだけ使って良
また、性差に関する分析では、いじめ被害の影響に男女差があることも明らかに。女性では感情処理に関わる領域でより多くの体積変化が見られたのに対し、男性では運動や感覚に関わる領域でより多くの変化を観察できた。 これらの結果は、いじめ被害の影響が性別によって異なる可能性を示唆しており、今後のいじめ対策や介入方法の開発において、性別を考慮したアプローチの必要性を示している。 Source and Image Credits: Michael Connaughton, Orla Mitchell, Emer Cullen, Michael O’Connor, Tobias Banaschewski, Gareth J. Barker, Arun L.W. Bokde, Rudiger Bruhl, Sylvane Desrivieres, Herta Flor, Hugh Garavan, Penny
米AppleのAI研究者らは10月7日(現地時間)、「GSM-Symbolic: Understanding the Limitations of Mathematical Reasoning in Large Language Models」(LLMにおける数学的推論の限界を理解する)という論文を発表した。 この論文は、LLM(大規模言語モデル)が、本当に人間のように論理的に考えて問題を解けるのか、という疑問を検証している。結論としては、LLMは今のところ、表面的なパターンを真似て答えを出しているだけで、真の推論能力は持っていないと主張している。 研究者らは、これらの問題点を検証するために、「GSM-Symbolic」という新しいテスト方法を開発した。これは、LLMの数学的推論能力を評価するためのベンチマークデータセット「GSM8K」を改良し、問題の表現や数字を柔軟に変えられるようにした
思考や行動にまとまりがなくなる精神疾患である統合失調症の患者には、幻覚や妄想などさまざまな症状が現れます。統合失調症患者の中にも幻聴がある人とそうでない人が存在するとのことで、中国の研究チームが「統合失調症患者が幻聴を聴くメカニズム」を明らかにしました。 Impaired motor-to-sensory transformation mediates auditory hallucinations | PLOS Biology https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3002836 What happens in the brain when a person with | EurekAlert! https://www.eurekalert.org/news-releases/10594
勉強や仕事などで解決策が見つからずに行き詰まった際に「一晩寝たら解決策が思い浮かんだ」という経験をしたことがある人は多いはず。一晩眠るとアイデアが思いつく現象には睡眠中の脳の記憶整理機能が関係しているとされているのですが、新たにイェール大学の研究チームによって記憶整理機能のメカニズムの一端が解明されました。 Nested compressed co-representations of multiple sequential experiences during sleep | Nature Neuroscience https://www.nature.com/articles/s41593-024-01703-6 Sleep on it: How the brain processes many experiences — even when ‘offline’ | YaleNews
これで人間関係円滑✨みたいなマニュアルではない。 初対面や浅い関係の人間に「は?」「何言ってんだこいつ」という反応をされないための会話パターンを用意している。 尚、友達は出来るが続かない。人間関係リセット癖の極みで友人はゼロだ。 これからマニュアルと、マニュアル無い頃の自分の会話のパターンを書く。 殆どの人はこれを小学生から考えずやれているのか考えてやっているのか知らないが、出来ていてすごいと思う。 ①「暑いね・寒いね」「暑くない?・寒くない?」と言われた時は余程正反対のことを言われない限り同調する。 疑問形だとしても個人の感覚は聞かれていないので雪降ってるのに暑いと言われたなどの例外を除いてオウム返しにするとよい。 NGパターン: 自分は大丈夫、全然!、でも厚着してるから平気、昨日より大丈夫じゃない?(ポジティブな意図でもNG) ②「さっき何話してたっけ?」「貴方はどう?」など明らかな質
「叱れば人は育つ」は幻想 (PHP新書) 作者:村中 直人PHP研究所Amazon Kindle版もあります。 「叱れば人は育つ」は幻想 (PHP新書) 作者:村中 直人PHP研究所Amazon 脳・神経科学などの知見から、著者は、叱ることには「効果がない」と語る。 叱られると人の脳は「防御モード」に入り、ひとまず危機から逃避するために行動を改める。 叱った人はそれを見て、「ほら、やっぱり人は叱らないと変わらない」と思ってしまうのだが、叱られた当人はとりあえずその場の行動を変えただけで、学びや成長を得たわけではないのだ。 そして厄介なことに、人間には「よくないことをした人を罰したい」という欲求が、脳のメカニズムとして備わっているため、叱ることで快感を得てしまうのである。 では、どうすれば人は成長するのか。本書は臨床心理士・公認心理師で、発達障害、不登校など特別なニーズのある子どもたち、保護
この画像を大きなサイズで見る 睡眠と脳の働きの関係を調べた新たな研究によれば、夜型の人は朝型の人よりも脳機能が優れており、高い認知パフォーマンスを発揮することがわかったという。 英インペリアル・カレッジ・ロンドンのチームによるこの研究は、UKバイオバンクの2万6000人以上分のデータを分析し、時間・パターン・質など、睡眠のさまざまな側面が認知パフォーマンスに与える影響を調べたものだ。 その結果は意外なもので、全体としてみると、夜型の人は朝方の人に比べて認知テストのスコアが高いことが判明した。 ただしどんな研究結果でも個人差というものは存在する。全員すべてがそうだというわけではないことに留意しよう。 脳にとって一番良い睡眠時間 この研究でまず明らかになったのは、脳にとって一番いい睡眠時間は、一般的には7時間から9時間であるということだ。 記憶・推論・情報処理速度といった認知機能は、この睡眠時
意識の脳科学 「デジタル不老不死」の扉を開く (講談社現代新書) 作者:渡辺正峰講談社AmazonSFの世界ではよく人間の意識をアップロードして肉体の縛りから解放される、「マインドアップロード」と呼ばれる技術が扱われる。実際、人間の意識とはけっきょく脳内の化学的な作用の結果生まれるものであるという立場に立つのであれば、その作用をデジタル上でも機械上でも再現できればそこに「わたし」が宿るはずである。 今はまだSFの中の話にすぎないが、現実でもBMI(ブレイン・マシン・インタフェース)技術や脳神経科学の進展もあり、徐々に現実味を増してきている──ときて、本書『意識の脳科学』はまさにそうした「意識のアップロード」をテーマにした一冊だ。著者の渡辺正峰は神経科学を専門とする東京大学大学院工学系研究科の准教授で、研究だけでなく自身でも意識のアップロードを目指すスタートアップ「MinD in a Dev
親しい人の顔を覚えられなかったり、目の前にいる人の顔を識別できなかったりする「相貌失認」の人は、これまで考えられていたよりも多い可能性が研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY BALLBURN_PHOTOGRAPHY, GETTY IMAGES) 伝説の霊長類学者ジェーン・グドール氏、俳優のブラッド・ピット氏、そして『妻と帽子をまちがえた男』の著者として知られる神経学者の故オリバー・サックス氏の共通点は何か? 答えは親しい人や有名人の顔を覚えられなかったり、見分けがつかなかったりする「相貌失認(そうぼうしつにん)」だ。 長年、相貌失認はまれな障害とされてきたが、2023年に学術誌「Cortex」に掲載された論文によれば、相貌失認の人はこれまで考えられていたよりも多い可能性があるという。この研究では、相貌失認の重さや症状は連続的で、その有無を単純に判定できず、使用する基準によって
「意識とは何か」という問題のスナップショット。 新書サイズのわずか85ページで、神経生理学、科学哲学、心の哲学の学際領域をコンパクトに圧縮している。いわば意識のハードプロブレムの最前線を切り取った小論といえる。読む前と読んだ後で見え方が変わってしまう本をスゴ本を呼ぶのなら、本書はその名に相応しい。この問題の捉え方そのものが変わってしまったのだから。 例えば、「意識の問題はヒトの問題なのか?」という切り口だ。 提唱者のD.チャーマーズが掲げた「脳の物理的な状態と、感じる、見る、思うといった主観的な経験との関連性を解き明かす」という命題には、「ヒトにとっての」という語句が隠れている。 わたしは今まで、問題文そのものを疑うことをせず、マリーの部屋とかクオリアについて学んできた。だが、立ち止まって考えると変だ。意識の問題は「生物にとっての」という語句から考えるべきだ。 アナバチは「愚か」なのか?
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