◇原子力機構職員 「安全神話」伝えた償い 東京電力福島第1原発事故のあった古里の福島県で、ヒマワリ栽培による除染にこだわり続ける人がいる。日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)の職員で、かつて福島第2原発にも勤務した千葉県白井市の天野治さん(63)。ヒマワリの除染は国が一昨年に実施した実験で「効果なし」との結論が出されたが、しっかりとした実証方法があるわけでもない。汚染土の除染作業も遅々として進まない中で、何とか古里の再生に貢献したい。それが原発に携わった者の被災者への「罪滅ぼし」だ。【神保圭作】 猛暑が続く17日。天野さんは原発20キロ圏内の福島県富岡町にいた。40メートル四方の田んぼは一面、ヒマワリの苗が青々と茂っていた。1本ずつ刈り取ると、測定器にそっと入れた。麦わら帽子の研究者仲間たちがのぞき込む。「さて、どう出るか」。はやる気持ちを抑え、天野さんが小さくつぶやいた。 南相馬