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『リズと青い鳥』は沈黙の音を描き切る。吹奏楽を題材にした音楽のアニメであるにもかかわらず、深い沈黙をすくいあげる。わかりやすい言葉はなく、感情移入を促す劇伴もない。 にもかかわらず印象深い長編である。この沈黙がアニメでまず見ることがない繊細な感情表現を実現しているからだ。少なくとも現在、国内の商業アニメにおいてこの感情表現を比較できる作品はない。 『リズと青い鳥』は沈黙の音を描き切る。 沈黙とはもちろん無言でいることじゃない。建前のおしゃべりはいくらでもする。なのに大事なところで本心や演奏技術が噛み合わない時、沈黙は現れる。沈黙は本編の『響け! ユーフォニアム』でも少なくなく描かれてきた。さまざまなパートごとの対人関係のすれ違いをはじめ、集団の規律の中で演奏する吹奏楽だからこそ沈黙は重たくのしかかる。 セッションで誰かのミスで中断するとき。吹奏楽部内で頑張ろうとする建前と本音がずれるとき。
言わずと知れた大友克洋の代表作「AKIRA」 日本だけでなく海外でも今なお絶大なる人気を誇っている。 僕も映画史上最も優れたアニメ映画の1作と思っています。 しかし何度も観てるこの映画、テレビ放送で観た記憶はあまりない。 放送はされているのだろうが、おそらく深夜だったりローカルチャンネルだったりするのだろう。 「ラピュタ」や「カリオストロの城」などパヤオ作品はゴールデンで何度も放送され祭化してるのにAKIRAはならない なぜだろう? その理由を僕なりに考えてみた 1988年/日本 監督:大友克洋 声優:岩田光央、佐々木望、小山茉美、玄田哲章、石田太郎、ほか 上映時間:124分 97点 ざっくりあらすじ 1988年、第三次世界大戦勃発、東京は崩壊。 2019年、ネオ東京として復興を遂げる。 しかし最高機密(アキラ)を巡って、軍とゲリラは毎日闘争を続けていた。 アキラとはいったい何なのか そん
よくきたな。おれは逆噴射聡一郎だ。おれは毎日すごい量のテキストを書いているが、誰にも読ませるつもりはない。しかし今回おれはインドから突然現れた真の男のための映画「バーフバリ 王の凱旋」を知り、いてもたってもいられなくなったので、この記事を書いて公開することにした。 逆噴射聡一郎先生プロフィール:社会派コラムニスト。昔からダイハードテイルズ・マガジンに時々寄稿してくださいます。 今すぐ観に行かないやつは腰抜け耳ざといおまえは、すでに「バーフバリ」の文字列をTwitterとかのタイムライン上で目にしているかもしれない。だがおまえは妙にひねくれており、乗り遅れたのが悔しく、そうゆうポッと出のバズワードをあえて見てみないふりをしているのが賢いと考えて、ひとり悦に入っているとゆう有様だ。もしくは、「インド・・・・ムトゥ踊るマハラジャとかロボットとかそうゆうやつだろう・・・・・」といった石器時代のよう
なんだか先週で、東京ではいろんな劇場でブレードランナー2049が公開終了になってしまっているようで、うーん、残念きわまりない。とはいうものの、一方でまあ仕方ないか、という気もする。 ぼくは映画や小説について、予備知識なしで見ようとは思わない。オチがとか、ネタバレとかいうので騒ぐのは愚かしいと思っている。事前の情報をなるべく遮断して白紙の状態で見たいという気持ちはわからないでもない一方で、まあ完全に白紙で見るのはどうしたって無理なんだし(そもそもその映画を見に行こうと能動的に思う時点で色はついてるよね)、いろんな人の見解で事前にあれこれ想像するのもきらいではない。 ということで、今回のやつについてはいろんな人の意見を事前に見た。で、ご存じの通り、ブレードランナー2049は、評論家ウケは大変よかった。長いけれどすばらしい、続編のプレッシャーを見事にはねかえし、独立した作品として云々、さすがビル
「Fate/stay night」の3ルートの中で最も長い「Heaven's Feel」。これをテレビアニメの2クール分にも満たない全三章で映画化すると聞いた時には不安を抱きましたが、須藤友徳監督の作り上げた第一章を鑑賞して不安は完全に消えました。 平凡な監督なら原作の魅力を削がないようにするだけで精一杯になると思いますが、桜研究家の須藤監督は中学時代の桜が士郎と関わり心を開く過程、クズにしか見えない慎二が士郎に抱く複雑な感情、そこに注力して原作の魅力を倍以上に膨らませてくれました。 上映時間の制約から原作を相当に圧縮し、必要に迫られ省略した箇所も多々あるはずなのですが、士郎の人間関係に関してはむしろ情報量が増えたように感じられました。この奇跡を可能にする上で「Unlimited Blade Works」と「Fate/zero」のアニメが果たした役割は非常に大きい。上記作品が無ければ今回の
劇場用アニメーション『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は、アニメーターによる従来の職人的な手描き技術と新しいCG技術の融合によって生み出された、クールな映像表現、また士郎正宗原作、押井守監督による先進的なテーマや哲学性などによって、アメリカをはじめ世界に日本製アニメの存在を知らしめた代表といえる作品である。『マトリックス』のウォシャウスキー姉妹監督など、決定的な影響を受けたことを表明するクリエイターも少なくない。その伝説的作品をハリウッド映画として実写映像化したのが、本作『ゴースト・イン・ザ・シェル』である。ここでは、押井監督版のアニメーション映画を、分かりやすく『攻殻機動隊』、アメリカの実写映画を『ゴースト・イン・ザ・シェル』と表記し、主にテーマの面で両者を比較しながら、賛否渦巻く実写版の内容を検証していきたい。 『攻殻機動隊』は、人体よりも高性能な「義体」を、人間
以前からデザインとマネジメントについて興味があり、本などで少しずつ情報を入れているのですが、ピクサー・アニメーション・スタジオおよびウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ現社長のエド・キャットムル氏の「ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法(原題は『Creativity, Inc.: Overcoming the Unseen Forces That Stand in the Way of True Inspiration』)」は、最近読んだ本の中でダントツにおもしろかったです。この「ピクサー流 創造するちから」はマネジメントの話だけでなく、エド・キャットムル氏やジョン・ラセター氏の人柄、ピクサーの創業からトイストーリーをはじめとした名作誕生の裏側、ディズニーのピクサー買収、スティーブ・ジョブス氏についてと同時並行でピクサー自身の壮絶なドラマが書かれ
*以下のテキストは、 マスメディアがアカデミー賞レースの報道を一斉に始める前の、2月20日に入稿、更に4日前に書かれたもので、つまり所謂 「あとだしジャンケン」ではない旨、冒頭に強調しておく。 今時これほど手放しで褒められてる映画があるだろうか? 当連載は、英語圏の作品を扱わないので今回は<特別編>となる。筆者は映画評論家として3流だと思うが、本作は、複数のメディアから批評の依頼があった。大人気である。「全く褒められませんよ」「こんな映画にヒーヒー言ってるバカにいやがられるだけの原稿しか書けませんけど」と固辞しても、どうしても書けという。 そりゃあそうだ。筆者は一度だけヤフーニュースのトップページに名前が出たことがある。ジャズの名門インパルス!レーベルと、米国人以外で初めて契約したから? 違う。女優の菊地凛子を歌手デビューさせたから? 違う。正解は「『セッション』を自分のブログで酷評したか
Q. ロースおじさんは『この世界の片隅に』観ました? どうでした? お名前:面科さん A フンッ………………… フハァアア…………………………… ハアッ……………… ……………………………… ………………………… ……………………… フゥゥゥーーーーーー…………… ハァ…ハァ…ハァ… あ、ゴメンゴメン。おじさん、『この世界の片隅に』のこと聞かれたら、肘とつま先で体を支える体勢を3分間維持する「プランクチャレンジ」でやり過ごすことにしとるんよ。というわけで、この脂ぎった吐息がおじさんの「答え」や。さよなら。 ってわけにもいかんよね、やっぱり。でもねえ……正直気が進まないんよ。『この世界の片隅に』についてなんか言おうとするとき、おじさんの眼前に重々しい扉がそびえるんよね。具体的にはキルアの実家の門ね。こじ開けるのにメチャメチャな筋力を消費するし、開ける奴のパワーによって開く扉のサイズがぜんぜん
涙腺の緩い私はきっと上映中に泣くことになるのだろうと思っていたが、予想に反して、上映中には涙は流れなかった。 涙は、劇場が明るくなって私の日常が戻ってきた瞬間に、とめどなく溢れ出てきた。 喜びも不満も倦怠もときめきも恐怖もすべてひっくるめて、すずさんの日常がまるごと私の日常と重なってしまった。 隣を歩く娘。 屈託なく笑いさざめくたくさんの買い物客。 明るい午後の陽射し。 私のいる世界の何もかもを、すずさんの目を通して見てしまう。 すずさんの目で見たものに、私の心が反応して涙が出てくる。……すずさんはこんなことでは泣かないだろうとも思いつつ。 こんな体験をするのは生まれて初めてだった。 観客の私がスクリーンの中の世界へ拉し去られたというより、スクリーンの中に生きていたはずのすずさんが私の中に移植されたようだった。 この映画が話題になり始めたころ、「これは戦争映画というより日常映画だ」という趣
2016/11/05、弊社会場で VimConf 2016 が開催されました。 私は、3年連続で会場の音響と動画配信を担当していますが、これについて感想を書いておきます。 なぜ Kuniwak が音響・動画配信を担当しているのか Kuniwak と VimConf の要望がうまくマッチングしたためです。 Kuniwak は普段から業務/趣味を問わず Vim やそのプラグインを愛用しており、恩返しをしたいと思っていました。 たとえば、Vim Advent Calendar 2013 のトップ絵も恩返しの一環です。 また、VimConf 側の方は、少ないコストで動画中継をしたいという要望をもっていました*1。 もし、コストを多く支払えるならば、動画配信を外注するのがベストです。 今よりも数段上の配信品質を提供してくださいますし、属人性の排除といった観点でも優れています。 しかし、この手段には2
前口上 シン・ゴジラは映像の快感に満ち満ちた作品であった。何度となく繰り返される政治家や官僚たちの会議、自衛隊による整然としたゴジラへの攻撃、ゴジラを襲う無人在来線爆弾と高層ビル、そして鳥肌が立つほど美しいゴジラの熱線放射。どれもこれも素晴らしかった。 本作を特異なものとしたのが、作品が社会現象として捉えられ、多くのシン・ゴジラ論が語られた点にあるだろう。教義の映画のレビューではなく、特集連載を掲載した日経ビジネスオンラインを典型として、「シン・ゴジラ論壇」は活況を呈した、あるいは呈するように仕向けられた。今しばらくこうした状況は続きそうな様子である。 おそらく2016年を振り返るとき、無視できない作品となったシン・ゴジラであるが、わたしは8月頭に一回目を見たときから耐え難い違和感があった。しかしながらそれを文章化することにはためらいがあった。わたしがためらいを感じたのは、違和感という名の
映画「君の名は。」が大ヒットしています。この映画では、主人公の男女が入れ替わります。女性の方は曰く有りげな土地に生まれた巫女さんということで、入れ替わりみたいな不思議な現象に巻き込まれるのは分からなくも無いのですが、瀧は一般の高校生なので、なぜ入れ替わるのかよくわかりません。なので、ちょっと考えてみました。 なお、ストーリーに関する考察なので、ネタバレどころの騒ぎではありません。モロバレです。話を知らずに作品を鑑賞したい方は、ご注意ください。 タイムマシンパラドックス、とは? 「君の名は。」は、入れ替わりのお話であると同時に、時間移動(いわゆる『タイムリープ』)のお話でもあります。人間が、過去に遡ったり、あるいは、未来に干渉することで、もともとあった世界が変わってしまうことを「タイムマシン・パラドックス」といいます。最も分かりやすいのが、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」です。 マーテ
UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。 ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹 この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹
「君の名は。」Blu-rayスタンダード・エディション 神木隆之介Amazon秒速5センチメートル 通常版 [DVD] 水橋研二Amazon 『君の名は。』の作中には、「糸を繋げることも結び。人を繋げることも結び。時間が流れることも結び。」というセリフが登場する。作品理解の鍵のようなセリフだが、これは、世間一般にも適用できるものだろう。 で、私自身の場合、である。 私は新海誠監督のファンではない、ないはずだが、過去に『秒速5センチメートル』という作品を観て、自意識がこんがらがってしまった。 アニメを観ることも結び、アニメに影響を受けることも結び、時間が流れることも結びだとしたら、私にとっての『秒速5センチメートル』はめちゃくちゃにこんがらがった、呪わしいけれども愛おしい糸だったと思う。 私は『秒速5センチメートル』に心酔してしまった“咎人”だ 『秒速5センチメートル』については、ラノベ評論
「シン・ゴジラ」90点(100点満点中) 監督:樋口真嗣 出演:長谷川博己 竹野内豊 ハリウッド版をすら凌駕する、これぞ2016年の日本にふさわしい新ゴジラ 私は「シン・ゴジラ」が完成した直後、その事をある制作スタッフから聞いた。やがて試写予定についても別会社のスタッフから知らされていた。だが結局、公開までに通常の大々的なマスコミ向け試写会は行われなかった。 あの庵野秀明総監督の事だから、完成といいつつポスプロの沼に嵌ったか、あるいは初号試写を見た宣伝チームが急きょ事前に我々に見せることをやめる判断をしたのか。いずれにしても映画ライターの間ではこういう場合、ろくな結果にならないとの経験則がある。 しかも、たまたま見に行った都心の映画館の入りがきわめて悪かった(上映10分前の段階でなんと私一人)事もあり、不安は増大する一方だったが、なかなかどうして、「シン・ゴジラ」は期待をはるかに上回る大傑
「君の名は。」見てきました。 土曜日の夜に1人きりで新宿TOHOまで行って。 (どうでもいいですが、これが初の一人映画でした。もう何でも1人でできちゃうね・・) 前評判も良かったし、満員御礼だし、ほぼすべての映画を「おもしろい」と感じる私は期待に胸を膨らませて見ました。 すごい面白かった。面白かった。んだけど、面白かったんだけど・・・。 映画の見かたって、人それぞれだと思うんですが私は「誰かしらに感情移入をすることで(映画の一部になった気持ちで)見る」スタイルなんですね、多分。誰に教わったわけでもないけど。 ゴジラはまるで自分の街が消えるかのような気分だったし、山岳遭難系は遭難した気持ちになって苦しくなるし、海難系は見られない。 高校生の恋愛モノに、もう感情移入ができなくなってきている事に気付かされてしまいました。そりゃそうなんだけどさ、31歳、子供も生まれて、青春なんかずっと前に終わって
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