大河ドラマ「光る君へ」(NHK)では紫式部が夫ではない道長と密通して子をもうける展開に。歴史学者の服藤早苗さんは「10世紀初頭まではフリーセックスの時代、つまり多妻多夫で、女性も複数の男性と関係を結べたが、『源氏物語』が書かれた頃には、妻の性が夫によって独占されるように。 そんな中、紫式部は、男性優位社会においては対等な男女関係が結べないことを描いた」という――。 ※本稿は『NHK大河ドラマ 歴史ハンドブック 光る君へ〈紫式部とその時代〉』(NHK出版)の一部を再編集したものです。 ■紫式部は「結婚幻想にとらわれぬリアルな眼」をもっていた 「どんなに男と女が主観的に愛し合っていても、男女が分断されている社会構造と文化形態、生活様式の中ではどうしようもなく、いすかの嘴(くちばし)のくいちがいになってしまうことを描ききっている。が、このような描写は、結婚幻想にとらわれぬリアルな眼がなければ、な