今日は、Aさんの論文改訂を中断して、Sさんの論文を改訂する作業にとりかかった。こちらは今回の改訂で投稿できる見通しである。 論文原稿を改訂する作業をしながら、論文の文章の書き方について、できるだけ一般化しようと試みている。 論文の書き方については、多くの本が書かれている。しかし、私がなるほどと納得できる本にはなかなか出会わない。たとえば、「論理的に書くとはどういうことか?」という基本的な問題についてわかりやすく解説した本は少ない。 論理には帰納法・演繹法・アブダクションの3つがある。論理的に書くということは、これらのいずれかの方法に従って、文章を書いていくということである。この点についてきちんと解説した本はほとんどない。 アブダクションという考え方については、なじみのない人が多いだろう。この考え方は科学的研究においてとても重要だが、幸い文章を書く場合には、アブダクションを用いることはまずな
2つの文章を比べてみれば、後者の方がわかりやすいはずだ。なぜか? 第一に、後者では論理の流れが切れていない。 第二に、後者の方が簡潔である。 この2つのポイントは、密接に関連している。この関連について、簡単な例で考えてみよう。以下の2つの文章のどちらがわかりやすいだろうか。 AはBである。BはCである。したがって、AはCである。 AはBである。ちなみに、XはYである。それはさておき、BはCである。したがって、AはCである。 前者のほうが断然わかりやすい。その理由は、論理の流れが切れていないからである。論理の流れの間に、結論に関係のない文章がはさまると、わかりにくくなる。 したがって、わかりやすい文章を書くためには、論理の流れを切らないことが重要である。 では、論理の流れを切らずに書くにはどうすれば良いか? 実は、この方法はおどろくほど簡単である。以下の原則を守れば良い。 後の文章では、前の
今年度から毎週火曜日を「プログレスミーティングの日」に決めて、大学院生・卒業研究生と面談している。共通の材料で研究しているメンバーの場合には、グループでミーティングを持っている。こうして教育にかなりの時間を割いているのだが、面談の際のレジメ(文書)がなかなか改善されない。読み手を意識せずに、自分のためのメモをそのままミーティング文書にしているケースが多い。 今日、Mさんに相談を持ちかけられたので、これを機会に「プログレスミーティング用文書作成要領」を作ろうと考えた。以下は、今日準備した試作品。今後、改良を重ねていきたい。 この文書は、プログレスミーティングをより有益なものにするために作成しました。 この文書で述べる内容は以下の3つです。 1.プログレスミーティングで何を話し合うか? 2.プログレスレポートをどう書けばよいか? 3.プログレスレポートの標準例 1. プログレスミーティングで何
指導教官にとって、大学院生やポスドクの論文原稿を改訂する作業は、生産的だが苦しい作業である。とても良く書けていて、内容にコメントすれば本人が自力で原稿を改訂できるというケースは、稀である。通常は、初歩的な文章の書き方から指導を始めることになる。 以前から、「論文原稿改訂のためのチェックポイント」を作りたいという構想を持っていた。今回、この構想を実行に移すことにした。数日前にAさんから原稿をあずかった。この原稿はかなり良く書けている。しかし一方で、大学院生やポスドクの論文原稿を改訂する際にしばしば遭遇する、共通性の高い問題点が目にとまった。そこで、これらの問題点を「チェックポイント」として一般化しながら、原稿の改訂作業を進めてみた。 以下は、イントロの7割程度を改訂した段階で整理できたチェックポイント。現状では原稿に登場した順に並べており、まだ体系化していない。当分の間、このようなチェックポ
「今後も追加されていくようなので,期待している.」という励ましの言葉をいただいたので、第2回をアップロードすることにした。項目をグループ化し、順序づけをしたうえで公開しようとも考えたが、それができる日は、いつになるかわからない。 (13)研究の目的・必要性が明快に述べられているか?・・・ついにこの項目が登場してしまった。 (14)ワードのスペルチェック機能でスペルの間違いが指摘されていないか? (15)学名はイタリック(斜体)指定をしているか? (注:雑誌によってはアンダーラインを引く) (16) 強く関連する2つの文章の間に関連の弱い文章を置いていないか? (17)予想・仮説は互いに重複していないか? またすべての場合を尽くしているか?(MECE:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive) (18)Figure, Tableを主語にして
暫定公開中 このページは,研究の成果を,講演,論文で行おうとする人の参考のために作成しました.主たる読者は,私の研究室の学生ですが,それ以外の興味を持つ方の参考になることも,私の喜びです.インターネット上で公開しているものですから,リンクは御自由にどうぞ.リンクに関して連絡をいただければ,当方のhttpアドレス変更等の連絡をさしあげることができあます.ただし現在は暫定公開中で,内容は不備が一杯あります.また本来,内部文書であることもご注意ください.もちろん無断複製等の著作権侵害行為はご遠慮ください. [近年撲滅キャンペーン](since 2009) 講演や原稿を「近年」で始める事は止めましょう. 近年しか体験してない若者が近年というのは聞き苦しい. 逆にベテランが近年と思っていることは, 若者にとって,古代であったりします. 十年一昔と云います.近年は数年前のことのはずです.でも, 修士課
条件付採録,不採録論文の再提出について 心構え 論文が落ちるとショックというのは良く分かります.別に,落ちても実害がないときでも,落ちるとショックです. とおらないと困る状況(学位からみなど)ならなおさら.たとえ不採録にならなくても,不本意な条件が付いた条件付き採録も不快なものです. 査読委員に罵詈雑言をあびせる手紙を書き,但し,それを投函せずに机にしまっておくというテクニックを外国の本で読んだこともあります. しかしながら,酷い査読にみえても,査読委員は一定の時間をかけてあなたの原稿を無料奉仕で読んでくださったわけです.誠意をもって,応対しましょう. 査読は大変な作業です.多くの査読委員は,(著者よりも!)丁寧に原稿を読んでいます.(著者は書くのに精力をつかっていて,他人の目で読むことが不十分)その意味で査読意見は,大変参考になるものです. 学生の提出した原稿を机に1ヶ月ほどいれっぱなし
Good Writing by Marc H. Raibert January 1985 Please visit the author's current company Boston Dynamics, Inc. It is important that you produce good writing for technical reports and research papers. Good writing will permit your readers to concentrate on your ideas, and may help you to give the impression that you know what you are talking (writing) about. I am not going to define good w
Please excuse the retro formatting. This page was created back in early days when raw HTML was the norm, for those of us who actually made web pages back then. I haven't bothered to modernize it, figuring it's the content that actually counts. Here are the notes from a presentation I gave at the Stanford InfoLab Friday lunch, 1/27/06, with a few (not many) revisions when I reprised the talk on 12/
Mac用のアプリケーションは開発するのが難しいとよく言われます。 実際、難しいですし、MacOSXでの開発で使うObjective-Cも非常に変態的個性的で習得の壁も高いような気がします。 しかし、最近では少し事情も変わってきてさくさくっと開発できるようにもなってきています(もちろん、その先には大きな壁が立ちはだかってはいるのですけど)。 今回は、CoreDataというフレームワークを使って、コードを書かずに(一行も!)アプリケーションを作ってみます。 まるで魔法のようにアプリケーションが完成するので、ぜひ、実際に手を動かしてみてください。 Xcodeを起動する まず、開発環境であるXcodeを起動します。 HDD内のDeveloper/Applicationsの中に入っています。 もし、まだXcodeをインストールしていない場合は再度インストールを行う必要があります。 以下のリンク先のド
英語で科学技術論文を書くための書籍はいくつか出版されていますが、大抵、日本語と英語の表現やロジックの違いの説明が主で、「論文」というよりは「英語」の学習と質的に変わりません。ここでは、「論文」をいかに書くか、さらには「論文」を書くために「研究」をいかに進めるかという点に踏み込んだ内容を紹介していきます。 まず、コンピューター系の論文の書き方のHow toを示した書き物として、DB分野で有名なJennifer Widomの以下の記事が、良い指針となります: Tips for Writing Technical Papers (Jennifer Widom)この中から、introduction (導入部)で説明すべきことについて引用しました。 What is the problem? (解いている問題は何?) Why is it interesting and important? (なぜその
メディカル備忘録 現在鋭意研究中のMDが、臨床を忘れないための備忘録ページ。 診断学 Diagnostics 領域別 消化器 血液 Hematology 腎臓 Nephrology 感染症 Infectious disorders 膠原病 Rheumatology 代謝・内分泌 Endocrinology/ Metabolism 循環器 Cardiology 呼吸器 Pulmonology 神経 Neurology 癌 Oncology 精神科 Mnemonics 疫学 To_Do その他 PC関連 英語 フィンランド語 スウェーデン語 フランス語 論文抄読 論文英語 統計学 遺伝統計学 数学メモ バイオインフォマティクス 遺伝統計ソフトウェア
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