2012年、『前田敦子はキリストを超えた』というタイトルの新書が物議をかもした。この本についてのおおかたの言説は、現代の一アイドルである前田敦子を、世界的な一大宗教であるキリスト教の教祖たるキリストと安易に比較対象にしているそのタイトルへの揶揄であったし、実際当時はわたしも「ちょwwwww」と思っていた。でも「アイドル=教祖」という考え方自体はわたしにとって非常に納得できるもので、最近それをとみに感じさせてくれたのが『前田敦子はキリストを超えた』と同じちくま新書から2009年に出ている『完全教祖マニュアル』だ。 この本は、古今東西の宗教や教祖の例をひもときながら、教祖へのなり方を紹介する、という非常にメタ的な内容の新書だ。単純に、宗教に対するユニークなアプローチとしてもおもしろい本なのだけれど、教祖について書かれているトピックがいちいち「アイドル」にも当てはまり、わたしは興奮しながら読み進
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