目の不自由な人はどのように読書してきたか 点字図書と録音点字の始まり わが国における点字図書 録音図書の出現と読書環境の変化 今後の展開に何を期待するか 改善をすすめる四つの観点 読書による選択性 即時性 主体的な速度調節 快適性 人と機械との役割分担 目次に戻る 1.目の不自由な人はどのように読書してきたか 点字図書と録音点字のはじまり 文字の発明とともに文明がはじまって数千年、19世紀の初頭まで、目の不自由な人に適した文字はありませんでした。点字以前に、目の不自由な人が読める文字がなかったわけではありません。いろいろの材料を用いて、普通の文字の形をそのまま手で触れるように工夫した物が各地でつかわれていました。世界で最初の盲学校であるパリの訓盲院でも、創立者のバランタン・アユイが考案した浮き出し文字がつかわれていました。しかし、これは本をつくるのに手間がかかるうえに、目の不自由な人にとっ