――まずは、『スパイダーマン:スパイダーバース』(以下、『スパイダーバース』)をご覧になられた際の率直な感想を教えてください。 小島『スパイダーバース』は、まさに革命的な作品ですね。プロデューサーのアヴィ・アラッドさんは知人なのですが、「手腕がスゴいな」と思いました。まさに未来が見えているといっていい。この作品は映画界において、かつてPIXARが『トイ・ストーリー』を作ったのと同じくらい重要なターニングポイントになったと思います。「『スパイダーバース』的な作りかたができるのであれば、今後の映画はすべてこれでいいでしょ」と思いましたから。まさにコミック世界(バース)をそのまま映像化したような作品と言えます。 ――確かに作り手の圧倒的なセンスとこだわりを感じる映画でした。 小島ええ。たとえば日本では、「アニメやマンガ原作の映画なら売れる」という思い込みがあってプロジェクトが立ち上がり、さまざま