いったい誰がこんなタイトルの本を読むのだろう。といっても私も読んだのだが、もちろん買って読んだわけではなく、例によって図書館の新入荷のコーナーで見つけて借りて読んだ。アートバブルと言うけれど、コレクターという投資家が読むのではなく、『美術手帖』も読んでいる美大生という「起業家」がよむのではないか。 「はじめに」を読むと、著者の「仁実」という名前は、武者小路実篤につけてもらったと書いてある。父親が銀座吉井画廊の経営者だった縁だといい、小林秀雄や岡本太郎白洲正子との交流も書かれている。ここで、読むのをやめようかと思ったが、感想文を書くために、とばしとばしに最後まで読んだ。 著者は自分のことを画廊の主人ではなく、現代アートを扱うギャラリストだといい、カタカナのアート業界の話をするのだが、どれもどこかで読んだような販売戦略の話で、ギャラリストばかりかアーティストもキューレーターもプロデューサーもジ