さて今週もやってまいりました。「論理的な議論のやり方 第2回」のお時間です。前回は、論証の妥当性と健全性という概念について勉強しました。幾つかの前提から結論を導くというのは、論証の基本なので、これはもう絶対に身につけておくべきマナーでしたが、今回から2回ほど使って、巷の議論でよく見かける、しかし論理的には NG となる論証のタイプというものを取り上げて、どこがおかしいのか検討してみましょう。今回は「事実と価値」の2分法、次回は「一貫性とダブルスタンダード」というテーマでお送りしたいと思います。 さて、それでは早速はじめましょう。今回取り上げるのは、事実から価値を導くという、見ようによってはかなり軽率な間違いについてです。しかし軽率というなら、私たち人間は例外なく軽率な生き物であるゆえ、直観だけに従っているとこの間違いに気づかないまま何となく説得されてしまうことになりかねません。 ところで事