VTuberのゲーム配信の画面は、よく考えてみると奇妙である。たとえばFPS(ファースト・パーソン・シューティング)ゲームの配信画面であれば、その名の通り一人称視点のゲーム画面があり、マップを邪魔しない位置のどこかに、視聴者側を向いたLive2D(平たく言えば「動くイラスト」)や3Dモデルの上半身が置かれるという構成を、基本的にとっている。 VTuber・葛葉の配信画面。プレイしているのはFPSゲーム『VALORANT』。(引用元)このとき、ゲームをプレイしているVTuberの顔は、本来はそのゲーム画面のほうを向いているはずだ。しかしその顔はゲーム画面ではなく、視聴者側を向いているわけである。視聴者はゲーム画面自体も観ているわけだから、そこでは異なる視線のベクトルが同居しているというか、現実的にはあり得ない特異な空間が、視聴者の脳内で合成されているということになる。 ここで、生身の人間の配
