家族で集まるなんて、ずいぶん久しぶりだ。家族っていってもたったの二人ぽっちだけど、お母さんが久しぶりに帰ってきたのだ。 お母さんが腕によりをかけた、ぼくがいちばん好きな麻婆茄子の夕食を食べ終わると、ぼくたちは家にあるものだけで自衛隊の戦車に勝つというテーマで話し合った。 ぼくが「エアガンがあるよ」と提案すると、お母さんは「バカか」と言った。 「バカか。向こうさんに本物があるのに、オモチャを使ってどう…バカか」 勇気のくじけたぼくが黙っていると、お母さんは助言してくれた。 「もっと、アイディア主婦目線で自衛隊と戦うんだ。家に転がってるありとあらゆるものに戦闘能力を想定しな。まず、戦車の自由を奪わなくては、我々に勝ち目はないよ」 「動けなくするの?」 「そうさ。それに実際の戦闘じゃ、いきなり戦車の前に立って『ファイト!』とはならないだろう。リアルに考えなくちゃ。リアルに考えてこそ人生はおもしろ