読者の皆様もご存じの通り、第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本から出場した辻井伸行が、中国出身のHaochen Zhangと第1位を分け合いました。この結果については、日本だけでなくアメリカでもかなりの関心を呼んでいるようです。ただ日本のマスコミの喧噪ぶりと異なり、米国の一般紙では今回の結果そのものを分析する内容の論調が目立ちます。 中には、審査員のジャッジに異議を唱える論評もあります。ラヴェルの評伝などの著作がある音楽評論家、ベンジャミン・イヴリー氏による「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙のコラムがその代表格でしょう。公式サイトからネット配信されている動画を見たイヴリー氏は「もっとも音楽的に成熟していて感受性の高い」Di Wu氏が賞に漏れたことが「ショッキング」と述べるとともに、第1位の辻井氏を「学生レベル(student-level)」「多くのものを要求されるレパ
