ヨハン・クライフが68歳で亡くなったのは、今から4年前の3月24日だった。 サッカーの歴史は、クライフ前とクライフ後でふたつに分けられる。 正確に言えば、「トータルフットボール出現前と出現後に分かれる」のだが、トータルフットボールをピッチ上で体現していたのがクライフであるのだから、「クライフ前とクライフ後」と言っても支障はないだろう。 それはたとえばコペルニクスによって天動説から地動説に認識が転換したように、またニュートンやアインシュタインによって世界認識の在り方が劇的に変転したように、トータルフットボールはサッカーの在り方そのものを変えたのだった。 もともとはリヌス・ミケルス(1965~71年アヤックス監督、1974年オランダ代表監督)のアイディアであり、後を継いだステファン・コバチ(1971~73年アヤックス監督)が完成させた。その意味ではクライフを加えた3人の共同作業であったともいえ