延期になったドラえもんとしまじろうの席割りを『初恋』にわけてくれ! どうしても今、この瞬間に全力で薦めたい映画というものがある。たとえその映画が冒頭から生首が切り落とされる暴力描写でPG12にレートされていても。たとえ世界を覆うコロナウィルス騒動の影響で、映画館の出足が壊滅し、興行的に苦戦していても。台風の直撃で初週が壊滅してしまったアニメ映画『空の青さを知る人よ』がそうだったし、三池崇史監督の最新作『初恋』もそういう映画である。「ああ、三池監督のそれ系の映画ね」とあなたは思うかもしれない。でもこの映画には、「三池崇史監督の振り切れた快作で、ベッキーの振り切れた怪演がみどころでうんぬん」と言ったありきたりの説明の十倍くらいの情報と構造が詰め込まれている。脚本の中村雅氏の力が圧倒的だと思う。 脳腫瘍で引退を宣告されたボクサーとヤクザに追われる少女、という予告編の映像の切れ味から、ある程度出来